第10話 まほうしょうじょ(朔良)
「『魔法少女になれたなら』?」
「そうそう。まあ、優等生っぽい萌花じゃあ知らないか」
「むっ。そんなことないですよ……! オタクというほどではないですが、まほなれは好きですよ!」
ある日の放課後。
朔良は『魔法少女になれたなら』について話そうとしていた。
すると、萌花はぷくーっと頬を膨らませて食い下がる。
自ら手を挙げて室長になった優等生がそんな顔をすると、妙にギャップがあって可愛く見えた。
だが、身長は低いため、むしろ幼く見えたと言った方がいいだろう。
「ってか、萌花って現役で魔法少女やってそうだよな」
「へっ!?」
萌花の可愛さに胸を打たれたのか、いつの間にか話が変な方向へ傾いた。
萌花の身長は、小学校高学年ぐらい。
それに加え、幼い顔つきに無邪気そうな性格の持ち主。
ニチアサに出てくるような魔法少女に相応しい。
「ちょ……やめてくださいよ。もう高校生なのに魔法少女なんて似合わないでしょう?」
萌花は恥ずかしそうに口をもごもごさせている。
まだ魔法少女に対して憧れはあるようだが、もうそういう歳ではないと思っているらしい。
「いやー、見た目的には大丈夫な気がするけど」
「それって暗に見た目が幼いって言ってますよね!?」
朔良がふざけた様子でニヤニヤすると、萌花が涙目でツッコむ。
(イジると結構面白いな……)
新しいおもちゃを見つけた時の子どものように、朔良は目を輝かせた。
――明日はどんなイジり方をしようか。
そんなふうに悪どい笑みを浮かべながら、萌花を見つめる。
「な、なんですか……?」
萌花は不穏な空気を感じ取ったようで、明らかに朔良を警戒している。
そんな萌花の様子が、逐一面白いと感じる朔良であった。
(ちょっぴりドジで綺麗な心を持った魔法少女……か。いいかもしれない)
新たなネタをつかんだ朔良は、趣味で書いている『まほなれ』の二次創作の続きを書こうと筆をとった。
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