ご都合主義
皆さんは【牛乳】は好きだろうか、僕は好きだ。コーヒーのストレートがダメな僕にとって牛乳は天使である。それに夜寝る前に飲むホットミルクも格別だ。
そんな僕の今に至るまでの牛乳の歴史を教えよう。別に要らないとは言わせない。
小学2年のころまで朝に飲む(飲まされていた)牛乳がとても嫌いだった。味もおいしくなく特に効果もないなんて良薬でもない薬を病気でもないのに飲んでいる事と同義ではないかと思っていた。
しかしそんな牛乳のイメージは一変した。小学3年でスピードブームが到来した速ければかっこいいというガキ特有のあれだ。特に流行っていたのは足の速さと給食を食べる速さ勝負だ。
比較的陰の存在だった(嘘だ比較するまでもない)僕でさえも男子は強制参加だった。やるからには負けたく無いと思い全力で挑んだ。
「カツンッ」
台にお盆を置く音が鳴った。終了のブザーだ。なんと最初に置いたのは僕だった。嫌いな牛乳でパンをふやかし飲み込む作戦が功を奏したのだろう。こいつ誰だという静けさはすぐに去り、声変わりしていない男子達の高い歓声が教室を埋めた。陰とは一変してヒーローへ生まれ変わった。嫌いな牛乳も天使へと格が変わった瞬間だった。
次の日の給食、僕はまだ手を抜けなかった。せっかく地位が上がったのだ死守したいと思うのは当然であろう。柔らかな羽と光のリングがついた牛乳にストローを献上し「よろしくな」とささやく。王者のルーティーンだ。「いただきまーす」と開始のブザーが鳴り、周りを少し確認して口に詰め込み(真似は推奨しない)牛乳で流そうとした瞬間だった
「うぐっ」
という何か生まれそうな声を出した刹那、調理されたはずの食材達は産声をあげた。今日の主食は白米だった。相性が悪すぎたのだ。あえてここで味の表現はしないが不味すぎる。
この日からあだ名は【ゲボ】に降格した。牛乳は堕天使へとなり果てたのだった。
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