第48話

 何気ない顔でエレベーターに乗り、みんなの待つ8階の展望ロビーに向かった金太だったが、誰もいないエレベーターのなかでへたへたと座り込んでしまった。神経を使い果たしたに違いない。しかしそれもデーモンの言葉で正気に戻った。

「金太、あれ」

 デーモンが指差したのは、天井近くにつけられた監視カメラだった。

 慌てた金太は、気を取り直して何事もなかったように取り繕った。

 エレベーターが8階に着くと、金太たちが降りて来るのを待ち望んでいたアイコたちは、姿を見るなり心配そうに駆け寄った。

「どうだった?」

 アイコは泣きそうな顔になって訊く。

「一時はもうダメかと思ったけど、なんとか成功したよ。アイコが作ってくれたプチプチの防寒着のお陰ですんなりと作業が進められた。助かったよ」

 金太は全神経を使い果たしたといった顔で答えた。

「ごめんな、金太。きみたちばっかに危なかことさせて。ぼくはなにもできんやったけん、ちょっと後ろめたさがあっト」

 ノッポは申し訳なさそうにアイコの肩越しにいった。

「そんなことは、いいんだ。これはみんなで分担してやったことだから、誰がどうこういうのはなしにしよう」

「ありがとう、みんな。ぼくのことでみんなに迷惑をかけてしまった。ぼくひとりだったらどうすることもできなかった。これもロビン秘密結社のメンバーのお陰だ。本当にありがとう」

 デーモンはこれだけはどうしてもいいたかった。

「さあ、家の人が心配するといけないから、急いで帰ろう」

 金太は、アイコにリュックを返しながら笑顔でいった。

 帰りの電車では、デーモンがみんなと一緒に座って笑顔で話していた。

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