第14話 第2章 謎の密航者

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 デーモンが転校して来て、そろそろ1ヶ月が過ぎようとしている。学校にも慣れて少しずつ友だちもできはじめている。授業後の休み時間に廊下でノッポやアイコと立ち話をすることもある。

 学校最大のイベントである体育祭・文化祭がすみ、騒然とした空気も落ち着き、校内もようやく普段の学校生活に戻った。

 そうなると、あたりはすっかり秋色に染まり、これから本格的な受験シーズンのはじまりとなる。

 ――そんなある土曜日のことだった。

 デーモンが秘密結社の小屋で浮かない顔で金太を待っていた。

 昨日の夜、デーモンは金太にメールを送った。折り入って相談があるという内容だった。受け取った金太は、魚釣りにでも連れて行け、とうことだろうと思い、気楽にOKの返信をした。

 しばらくして、小屋の扉ががたぴししながら開けられると、

「ボラーァ」

 元気のいい声で挨拶しながら金太が姿を見せた。

「ぼらぁ」

 ちからない声でデーモンは金太の顔を見ていい、そしてすぐに目を背けた。

「どうしたんだよォ、いつものデーモンらしくないじゃないか」

 ようやくデーモンの異変に気づいた金太は、顔を覗き込みながら訊いた。

「うん」

 短く返事をしたものの、まだ金太の顔をまともに見ることができない。相談があると金太を呼び出したデーモンだったが、この場に及んでもまだ踏ん切りがつかないらしい。

「ほら」

 金太はポケットから例のかわり玉を取り出すと、デーモンの前に差し出した。

 おずおずと手を伸ばしたデーモンは指先で摘んだあと、ころんと口に放り込んだ。

 同じようにかわり玉を口に入れたあと、相談の内容が重症であることを感じ取った金太は、デーモンが口を開くまで待つことにした。

「――じつは」

 デーモンが床に置いてあった白い箱を机の上に載せた。白い箱はケーキが5、6個入るくらいの大きさで持ち手がついている。

「なに、これ?」

 金太はちょっと嬉しそうな顔でデーモンを見る。

 デーモンは白い箱の取っ手を両側に引っ張ってなかを見せた。箱を覗いた金太は想像と違った中身に落胆する。

「ケーキじゃないんだ」

「うん」

 なかに入っていたのは金太の想像したイチゴのショートケーキではなく、20センチほどのカーボーイの格好をした人形が1体入っていた。

「なんだ、人形じゃないか? この人形がどうかしたのか?」

「違うんだよ、よおく見てみろよ」

 そういわれて金太は白い箱に顔を寄せて覗き込んだ。すると、それはカーボーイ姿の人形ではなく、小さな生き物で、その証拠に軽いイビキをかいてすやすやと寝ていた。

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