488話 開幕

 なんやかんや、あれこれ、なんだりと、やれることは全部やってのイベント開始。

 結局のところ、ルールとしては人数差があると大将戦、なかったら殲滅戦っていう何とも曖昧なルールになっていた。この辺に関しては、とにかく全員ぶちのめせばいいんだろ?くらいの感じになっていたので、ここはまあ問題なし。

 そして、第一回戦……っていうよりも予選は数減らしのバトルロワイヤル。なんかこれも毎度毎度のワンパターンな気もするなあ。


「芸がないっていうか、対人だと引き出しがあんまりないか」

「殲滅じゃなくてポイント制みたいっす、人数が多いところは全員守るのはきついっすから狙われそうっす」


 まさかのポイント制。リスポンはランダムになるのか、その場になるかでも結構変わる感じあるけど、どうなんだろう。ポイントありきで殲滅戦とか?それだったら人数の多いところが不利になって少ないところのほうが動きやすくなるか。


「さて……うちの参謀としてはどういう作戦を立てる?」

「そうっすね、リスポンがばらばらならまずは合流っす、まとまってるなら索敵からの一撃必殺で離脱……は、無理っす。うちには重戦車がいるっす」

「騎乗ユニットが使えればいいんだけど、始まってから確認するしかないか……機動力のなさを考えると人数差があるところは襲わずに確実に潰せる人数のとこを狙うか」


 ただ、あいつの防御力とHPを考えたら囮に使うってのはありではあるが、人数多く集中砲火をもらったらすぐに沈むとは思う。うちの壁は固くて強いからなるべくなら維持しておきたいので、囮戦法はちょっといただけない。うちの壁がそのまま大黒柱になるからあんまし傷物にはしたくないのが正直なところ。


「……」

「大丈夫です、アリス殿を置いていく程、アカメ殿は薄情じゃないですぞ!」


 あっちはあっちで絡みまくってるからなのか、変に仲良くなっている。関口の爺は相変わらず、誰を倒そう、どう動こう、そんなことを考えている。双子のほうに関しては相変わらずの仲良しこよしでべったり。


「あんまり馴れ合うのもあれだけど、スタンドプレーが目立ちすぎるのも問題な気がするわ」

「大丈夫っす、その辺はしっかりしているっす……多分」


 信用性はあるっちゃあるけど、どこまでついてくるかだよなあ。それぞれの考え方もあるから、ヴぇンガンズの時のような感じにはいかんだろう。まあ、そう思ったからこそ、あれこれ手を考えてきたんだけどな。私って用意周到なんだよね。


「おっと、転移が始まったみたいだな……それじゃあ向こうについたら、連絡する」

「……」

「ばらけたら集合、集まってたら状況把握ですな!」

「喧嘩は先に売るのか、買うのか、そこが問題じゃの」

「じゃあ、後で」

「うん、後で」

「幸運を祈るっす!」


 7人だけでどこまでいけるか……何てことを考えている奴はこの中にはいないだろうよ。あくまでも一番上を目指すってのは結構口酸っぱく言ってきたから大丈夫のはずだ。いや、大丈夫じゃなかったらダメなんだよ。


「……姉御、眉間に皺が寄りすぎっす」


 そういえば暫くアーマースキンを付けていたけど、今は外していつもの感じに戻している。

 黒いスーツに白いワイシャツ赤いネクタイ。どこぞのバーコード禿と一緒の恰好だけど、これが私の中で一番決まっている格好だな。もちろん黒い皮手袋にコンバットブーツ。コートじゃなくて中に仕込みを入れておいたから防御力は申し分なし。火力もメイン銃を3丁、ハンドガン2丁、長物としてARが1丁でアタッチメントも少なからず開発して装備。


「準備しまくったけど、ずっと心配で緊張するもんなんだよ」


 なんてことを言っていれば転移が完了して視界が開ける。と、同時に落下する。

 あー、これよくあるダイブ制度か……って事は、それぞれバラバラに開始するからどうやって合流するかな?


『何か目印になるもの見えないか?』

『塔が見えるのう、西洋の街並みが見える』

『こっちは森ばっかりですぞぉおぉ!』


 私が見える範囲では、だだっ広い草原が広がっているな。遮蔽がないからあんまりおりたくない地形だ。ついでにぐるりと回りを見れば、結構な大きさのマップ……流石に参加クラン全部を1個のマップに投入手事はないだろうから、何個か分散はしているか。


「プレイヤーもそこそこ近くにいたりするし、これはちょっと大変かもしれん」

『街が、見える』

『山、ばっかり』

『……』


 問題はアリスだな、あいつ本当にしゃべらないし、どうにか先に合流してからのほうが良さそうだが。


『西洋の街、山、森、草原のマップっすね……こっちは山が見えるっす』

『アリス、場所を言え、場所を!』

『……草原……』


 よし、これで二人組は作れる。っていうか、松田だけ森で孤立してるのはちょっとやばいかもしれん。


『私はアリスと合流、そのほか同じ地形の奴で合流、松田は……森以外の近いところは』

『森のど真ん中ですな!』

『どうにか潜伏しておけ、拾ってやる』

『頼みましたぞぉー!』


 さーて、ここからが本番なわけだが……。


『これ、どう着地するんだろうな』


 まさかこのまま落下ダメージで死亡ってのはねえだろ。

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