388話 変わった取り巻き

「新しい物は特に無し、と……此処まであげてもまだ上があるってんだから、何個用意してんのやら」


 マイハウスからガンナーギルドに素早くやって来て、商品のラインナップ確認。クランを抜けてからここに来てから動くようになった。しかも何だかんだでもうガンナーのGLvも15だし、サブ上げてる最中にちょっとだけ忍者ギルドのLvも上げていたりする。

 トカゲ、銃工房、射撃場含めて銃を製造するという事に関してはクランの施設や人材が完璧に揃っていたが、今ではそれがないので購入するという方法に移した結果が、これ。

 灯台下暗しと言う訳ではないが、ギルドのレベルを上げて、受付NPCの好感度を上げ、信頼と実績を掴んでいく、なんともしっかりとしたゲーム進行をする事になるとは……思ってた。レベルとスキルを上げるだけのゲームってのも嫌いではないが、ちゃんとシナリオあるんだな。

 私が見つけたのでいえば、ガンナーギルドの受付から直接クエストを受け、達成する事で大幅に貢献度を稼げるというものだった。あと、いつもぶっきらぼうな対応から、そこそこまともな対応になったというのもある。


「もうちょっと良い銃ないの?」

「……もっと貢献してくれないと無理に決まってんだろ」


 ぶっきらぼうに知らねえよと言ってきたり、何にも言って来ない、そういう事も無くなったので口の悪い友人くらいの付き合いになったのは良い事だ。


「あ、アカメさん、またクエストですか?」

「新しい銃見つけに来ただけよ」

「この間も探しに来てたのにすぐ追加されるわけないだろ」

「こういうのはチェックするもんなの」


 受付と他愛もない話をしている横で、2人ガンナーがやってくる。クランを抜けてガンナーギルドに入り浸り始めて、新しい銃をとっかえひっかえ使ってはダメだったのをどう処分するかなと思ってた時に、投げ渡したのがこの2人。

 2人ともあのポンコツクランのメンバーだからって言うし、あんまし無下にするわけにもいかんと言う訳で付き合っている。1人はポンコツピンクと同じようなピンク髪のポニーテールが特徴のヒューマンで、ショットガンをメインに使っている。もう1人はいかにもなカウボーイ姿でリボルバーしか使わない拘り用。格好と風貌的に、どこぞの怪盗の相棒みたいだ。名前は知らんので、ポニテとカウボーイって私の中で言っている。


 そういえばガンナー系クランとしてポンコツの所って結構でかくなっているらしい。視聴者が全員ガンナーと言う訳ではないので、色んな職がいるわけだがポンコツの戦いっぷりを見て、クランに加入してあれこれ聞いてるとかどうとか。

 人口も増加傾向、ガンナーもちょくちょく増えているので私の知らない所で結構集まって細々とクランが出来上がっているらしい。らしいってのも聞いた話で、パチモンの奴から話を聞いただけになる。あいつの所も結構大きいガンナー専用クランとしてうちの分家みたいな感じだ。


「とりあえず、今日もガンナークエストを受けるかな……GLv20あたりまで行ったらどうなるか気になるし」

「アカメさん、付いて行っていいです?あたしも丁度クエストしたいし」

「お前なあ……って言うけど、俺も付いて行きたいんだけど、いいか?」

「別にいいけど、あんた達、そんなに強くないじゃないの」


 煙草……は、火気厳禁なので咥えられないので、少し大きめにため息を吐きだす。ガンナーギルドで受けられるクエストは複数人で受けると達成しやすいので、よっぽどの理由が無い限りはパーティを組んで受けた方が良い。

 

「ええー、良いじゃないですか新しいショットガン欲しいですし」

「俺もリボルバー増やしたい」


 ガンナーギルドを行動の中心にしたというのもあるので、こういう臨時のパーティを組むことが多くなった。そもそも名前を聞いた所で覚える気が無いので、分かりやすいあだ名をつけるのだが。


「この間みたいに銃弾は貸さないわよ、今日は通常弾持ってきてないし」

「またまたー、そんな事いって貸してくれるんだから」

「付いてこさせるだけありがたいと思いなさい」


 ポニテ掴んでつるし上げてやろうと思ったが、フレンドも組んでないから接触出来なかったわ。カウボーイの方はやれやれと言った感じでポニテの奴を見ている。別にリアルがどうとか詮索する気もないし、興味もないが、この感じだと知り合いなのかね。


「で、いいのか?」

「弾避けくらいにはなるだろうし、良いわよ」

「悪いな」


 深めに被った帽子から見える口元が緩んでいる。まあ、私がこういう返事をするって大体わかっていたって事か。何かムカつくから帽子すっ飛ばしたくなったが大人なので我慢。いちいち張り合っていてもしょうがないし、ここは割り切っておこう。


「あ、お前らまたアカメさんとクエストかよ」

「大会チャンピオンを連れまわせるのいいなあ」

「無茶苦茶な所行ってボコられてこいよ!」


 クラン所属の有無にかかわらずガンナーのたまり場にもなっているギルド。名前も顔も覚えていないような奴がちらほらといるが、有名税ってこういう事だよな。


「それで、今日はどこ行くんですか?」

「そういえば何にも聞いてないのに付いていくって言ってしまったな」

「今日はヴィエまで行って、採掘と合わせてクエスト、HSで30回クエストだから1人10回ノルマ」


 ガンナーギルドを抜け、歩きながらパーティを組み、転移地点まで来てさくっとヴィエに飛ぶ。忍者修行と尻尾操作を良くするために高レベル帯のモンスターを狩ろうと思った時に、第4の街まで開放しておいた。の、だが。


「あたしまでヴィエまで飛べない」

「右に同じく」

「……これだからのんびりしている奴らは……」


 これから転移って所で水を差されるとは。仕方がないので2人の最高到達地点でもあるドルイテンに飛んでから楽な北ルートを3人で進行する。




「ところでアカメさん、大会優勝おめでとうございます」

「目的の闘技場ランクの停滞に繋がったのが足引っ張ってるけどな」

「雑魚がいるから迂回するぞ……ガンナーはマークがきついってのによくやるよ」

「だから火力があんでしょ、ポニテ、次のトラッカー」


 ガンナーだけの構成でマップをクリアする際の定番の動きで誰かが1人がトラッカーを使って先導、MPをある程度保持して、残りが戦闘要員として動く。大体のガンナーはトラッカーを持っているし、持っていないのは今すぐ取れと言われるので、通用する立ち回り……と、言いたいのだが、あのポンコツの奴がまともな教育をしていなかったので必須スキルの装填Lvは上げてないし、トラッカーも持っていないしで、みっちりしごいた経緯もあったりする。


「まったく、今日はさっさと採掘して弾作る予定だったってのに……さっさと突破するぞ」

「あたしこんなとこで通用するレベルじゃないのに……」

「文句を言うな、お願いしたのは俺たちだろ」


 カウボーイの方は、まだ常識人で良かったよ。


「こんな事ならあんた達に銃なんて渡さなきゃよかったわ」

「文句言いながらも付き合ってくれる所が良い所だろ」

「此れでも感謝してるんですよー」


 はいはい……さっさとヴィエに言って採掘しつつクエストこなしたいよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る