367話 噂話
「負けちゃったねー」
「ああ」
「おねーさん、本気かな」
「だろうよ」
「……何があそこまで駆り立てるのかなあ」
「さあな」
「何か分かってるーって感じあるなあ」
「立ち上げ当初からの長い付き合いだからだろう」
「でもまあ、私も十分楽しめたから、いいかな」
「今生の別れって訳でもないだろう?それに、ああいう所に惹かれた連中が集まったのが儂らのクランだよ」
「あー、それは分かるわ」
「それに、だ……ああやってやる気の出したアカメを見るのが面白いからな」
「そうだねえ、まさかあそこまでぶち切れるとは思わなかったけど」
「よっぽど癪に触ったって事だろう、しかも儂らに対してじゃなくて、自分自身に」
「えぐい程プライド高いてのも考え物じゃない?」
「ま、確かにな」
手頃な所に座って酒を煽ってからバイオレットにも手渡し。
「それで、これからどうする?」
「まずはイベントをこなそう、クラン関係はとりあえず今は良い、それにクランハウス周りは残してくれるらしいしな」
「案外あっさり、十兵衛に全部譲渡していなくなったりしてね」
「……クランの引き渡しなんて出来るのか?
「ほらクラマスがBANされたり、一定期間ログインできないってなるとクランの運用が宙ぶらりんになるっしょ、その対策で譲渡は結構簡単にできるしされるよ」
こうなると問題としては他のメンバーがどう思うか……と、考えたが、何だろうな「アカメなら」って形で納得するような気もするので問題なさそうだ。
「とりあえずアカメの陣営は最低の街だったな?」
「そうだねー、あそこは散発的に喧嘩売ってくるから、相手してめんどいよ」
「これからアカメが本気でやるってなると多少なりと警戒しないとな、遭遇率が増えると思う」
これからの事を相談していると十兵衛の横に車が止まる。
「それじゃあ、こっちのパーティと合流する」
「あいよー」
「アカメちゃんがなんかおかしいらしいねぇ」
「おかしいのはいつもの事だろ」
「抗争クエにばっか出てるみたいで、コスト度外視の大盤振る舞いだってさぁ」
「……あのけち臭い奴がか」
「しかも転戦しまくって暴れてるらしいよぉ」
「何かの前触れか?」
「ん-、なんだろうねぇ……アカメちゃんの事だから、自分本位な事だとは思うよぉ?」
「ま、何があってもあいつの決定は逆らわねえよ」
「ニーナちゃん、アカメちゃんの事すっごい好きだよねぇ……妬けちゃうー」
「んなわけねえだろ!殴るぞてめえ!」
「まー、何にせよ決定には従うって点は一緒かなぁ、なんとなーく、嫌な予感もするけど」
「そうか?今まで通りだとは思うが」
「まあ、アカメちゃんなら悪いようにはしないはずだからぁ?」
「どうだか……変な思い付きで苦労するのは俺らだ」
「苦労した覚えないからいっかなあ」
「楽観主義なんだよ、てめーは……次のクエスト向かうぞ」
「いけずぅー、遭遇したら遭遇したで良いしねー、本気のアカメちゃんとも相手したいし」
「これだからバトルジャンキーは」
「ボスがどうかしたって、いつもの事じゃないか」
「いえ、どうもいつもと様子が違うようで」
「この間戦った時は何ともなかったけど?」
「何でスイッチが入るのかって、俺たちも分からんし、何とも言えんが」
「ん-、なんだろねー」
「イベント前に会いましたが、特に変わった様子もなかったですよ、薫さんも同席してたので間違いないです」
「じゃあまたももえがなんかやったのか」
「別に何もしてないって!あー、でも勝ちはしたかな、初めて勝てたよ」
「……それがやばそうだな」
「どうしてですか?」
「ボスは負けるのが大嫌いだろう?だから火を付けたとしたらももえが原因だって事だ」
「えー、私のせい……?」
「確かにボスは負けるの死ぬほど嫌いですからね……前にすっごい荒れてたの見た事ありますし」
「あんまり荒れてる所を見たのはないが、どうかしてるほどおかしいって事は、それくらいの事があったたんだろう」
「私が原因だとやばそうだなあ……」
「頭下げても許されないでしょうね」
「どっちにしろ遭遇したら、だな……それにしてもももえも菖蒲も陣営違うのに何で俺の所に」
「自分の陣営は中立ですから、ももえさんは完全に敵対勢力ですが」
「だって銃弾足りなくなったんだもん」
「燃費が悪いんだよ、お前は」
「わかってますぅー!」
「こういう感じに付き合えるのは良いと思うんですけどね」
「全く、バラ銃弾はあんまりもってないんだよ、俺も」
「でもくれる辺り好きー」
「……3歩歩いたら撃ち合いしそうなんで、自分はそろそろいきますね」
「まさかそんな恩知らずなわけないじゃん!10歩くらいは我慢するよ」
「それじゃあ背中から撃ちこんで渡した弾をそっくりそのまま回収するとするかな」
3人揃ってそんなことを言っている10秒後、泥沼の戦闘になる事に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます