298話 次にやること

 そろそろ落ちないと明日に響いてくる時間になってきたかな。

 学校だったり仕事、外せない用事でゲームの時間が減るってのはいつの時代もそうか。まあログインしてそのままチャットしつつだらだら時間を過ごしてるなんて事もやってたけど、今は色々やれる事も多いから、あれこれ動きつつが多くなった気がする。


 そんな事を考えつつ、パチモンクランから出てぷらぷらとエルスタンの街中を歩き、観光と言うか、ぼうっと散歩をしつつ、辺りを改めて見回す。人口が増えたから街自体を大きくしてからは、あんまり散策しようとしてないんだよね。

 そんなわけで、ちょっとは観光をしながら街の散策を楽しみつつ、ガンナーギルドの方へと向かう。

 


 パチモンの所とも話したが、新規ガンナーがちょいちょい増えているのでやっぱり街中を歩いていても銃を提げているのがちらほら見掛ける。

 初期装備にウサ銃を肩に担いであれこれ話しているガンナーを見かけるので、ちらっと銃の先を見てしまう。さっさとそのライフルに銃剣を付けないと大変だぞ。銃弾1発もパチモンクランの所で1,000Z、ガンナーギルドで確か3,000Zくらいだったかな?

 肉や皮10個くらいはいるし、1発の値段ももう少し抑えられたらガンナーも賑わったりするんじゃないかな。なーんて思ったけど、私があれこれ口出す事じゃねーわ、そもそも1プレイヤーが1つの職の全てを把握して管理しますって、自惚れすぎだわ。

 

 それに今まで私が売っぱらった情報も、情報クランの連中がしっかり広めて私に、払った分を回収したっぽいし、その辺もだいぶ知られてユーザーWikiにも記載されたとか言ってたっけか。

 硝石の情報を掲示板で漏らされたので一悶着あったらしいけど、硝石丘作り終わってた私には全くもって影響が無かったっけか。


 お、新規ガンナーが西エリアの方へ向かっていった。

 西エリアでパワーレベリングしていた一ヶ月前が懐かしいなあ……銃弾全部撃ち尽くして、ガンナー全滅して、情報らしい情報もなく、手探りであれこれやってたっけか。

 ま、あの新規ガンナーは、今じゃ環境としてはかなり優遇されてるんだから、頑張ってほしい。



 そういうのを見つつ、ガンナーギルドへ入り、いつもの様に中に入る。

 今じゃちらほらと別のガンナーもクエスト板の所や受付で唸って何を買おうとかどうしようかって話をしている。

 そういえばNPCって好感度システムなんてあるって聞いたけど、余計な会話したら銃でもぶっぱしてくるようなNPCと仲良くしたいかって言われたら、普通の人はNOだな。私はそう言うの楽しめるので良し。


 で、今日来た目的は新しいオートマチックピストルとギルドクエストの確認よ。

 とりあえず他プレイヤーが受付から離れたのを見計らって、さくさくっとギルドショップの銃器類を改めて確認。わてくし、これでもギルドレベル7なのよね。


「ショップにソート機能とかほしいわー……あったっけ?」

「……右上、あんでしょ」


 コンバットナイフで自分の爪を整えているNPCに言ってみれば、確かにソートのタグが小さくあるわ。

 そもそもタグで武器とアイテムのページを切り替えられるわけだけど、これ便利。


 で、大型系の銃器をソートしても出てこないので、これはギルドクエスト受けてもうちょっとレベルを上げたら、ってとこか。


「ねー、もうちょっとマシな銃ないの?微妙なラインなんだけど」

「もっと貢献してから出直しな」


 相変わらず雑な対応だけど、言われた通りにギルドのレベル10くらいまであげてみるかな。

 とりあえず他のプレイヤーと一緒になってクエストボードの近くに行き、めぼしいクエストを見つつ、椅子に座ってクエスト閲覧。

 早速と言わんばかりに、オーラ付きモンスターの討伐。クエスト的には強化モンスターって扱いらしいが、レベル別、エリア別に分かれた所で一定数を倒せというものだ。

 

「オーラ付きのクエストが期間限定じゃないから、恒常としてのシステムになるんかなー」


 ぎしぎしと椅子を傾け、体重を掛けながらクエストのメニューを眺めて葉巻を咥えて火もつけずに口で遊びながら一通り目を通していく。


「武器を買う為に強いのを弱い武器で倒さなきゃいけないって矛盾」


 エルスタン周り、エリア1のオーラ付き雑魚モンスターの討伐、エリア2以降のボスモンスターの討伐、ついでに納品クエストを受けてメニューを閉じてからふいーっと一息。何て事をしていたら、不意に声を掛けられるのでそちらに視線を向ける。


「あの……ヴェンガンズカンパニーのアカメ、さんですか?」

「そーよー、何か用?」


 やっぱり私って愛想悪いよね、ゲーム始めたての時なんてどいつもこいつも敵みたいに見えてたけど、強くなったらなったで余裕も出てきた気がする。それにしても、弱いのにイキってた、初めたばかりの私、かっこわりー。


「えっと、そこのクランで買ったマガジンが使えないんですけど」

「トカゲの奴、しくじったか……ちょっと見せて」


 明らかにゲーム初めて少し経ちましたって位のガンナープレイヤーからうちで買ったというマガジンを受け取り、アイテムの詳細を開いてチェック。

 アイテムの説明諸々はいつも通り、製作者もバイパー、特に設定もしてないし、不良品って訳じゃない。


「って、単純に未設定なだけでしょ、これ……使いたい銃だして」

「あ、はい……」


 そういうとインベントリからショットガンを取り出して近くのテーブルの上に置く。お、すげえな水平2連の銃じゃなくてしっかりドラムマガジン式の物だ。


「マガジンの設定はアイテムメニューから選択できるはずだから、そのショットガンに設定して」


 手元を見つつ、受け取ったマガジンを返して、メニュー操作をしているのを眺め、少し待つと、ガチャガチャと噛み合わせが悪くてしっかり入らなかったマガジンがすんなりと差し込まれる。元々はドラムマガジンだったけど、ストレートタイプの物でも問題ないんだな。


「って言うかすげーな、こんなマガジン式のしっかりしたショットガンあるのか」


 マガジンを抜いたり刺したり、残弾を確認している所を眺めながらいいなあと、その動作を見て葉巻を揺らす。

 うちの鳳仙花は装填隙が多すぎるけど、水平2連って言う浪漫溢れる物だが、ああいう実用化ばりっばりの銃ってのもそそられる。


「あ、出来ました、すいません……出来ないと思って……」

「いいって、代わりにその銃撃たせてくれたらいいよ」

「いや、どこで」

「此処の射撃場で」


 と、言う訳でそのショットガンを持っていた新規っぽいガンナーと共に射撃場に。

 やっぱ見た事ない銃って撃ちたくなるんだよ。


「じゃー、借りるわ、私の銃も使っていいから」


 隣同士に射撃場に立ち、CHとG4、ウサ銃を台の上に置いて、借りたショットガンを構えて直ぐ発射。

 お、すごいな、これセミオートとポンプ式を切り替えられるギミックが付いてる。あーっと、リアルでもこんなギミックの付いたショットガンあったけど、なんだったっけか。

 セミオートでバスバスと的に撃ち込み、マガジン全てを撃ち切ったら次のマガジンを装填してポンプ式でじゃっこんじゃっこん音をさせて撃ち始める。あー、これこれ、ショットガンってやっぱりポンプ式が楽しいんよね。

 片手でポンプ部分をスライドさせて、すぐに持ち替えて撃つ、映画でしか見た事ないけど、ああいうのもポンプ式の醍醐味なんだよね。


「やっべー、クッソ楽しい、やっぱギルドレベル上げて新しい銃買うか」


 5マガジンくらい撃ってから満足して葉巻で一服。

 隣ではCHを撃って反動でごろごろと転がっている。あれ、すげえ反動つよいんだよなあ。射撃場じゃ必要ステータスは関係ないけど、しっかり握ってないと反動すごいんだな。

 ……あんなのぼんぼん撃ってたか、私。


「ちなみにこれどこで手に入れたの?」

「ギルドに売ってますよ」 

「マジかあ……やっぱギルドレベルこつこつあげっかな」


 ガシャガシャポンプを動かして無駄に排莢させたり、引き金を絞ったり、暫く新しいおもちゃを触るかのように弄繰り回してからそれを返す。

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