109話 美味い炒飯の作り方とは
それにしてもこんなにもファーマーをガチにやるとは考えていなかった。
もうちょっと気楽に畑作業でもやって『異世界物VRMMOでスローライフを満喫する件』とかアホな事考えて余裕で出来るもんだと思ってた。それでもまだいつものゲーム処理的に簡単にぽこぽこ出来ると思ってたんだけど。
そんな事を思いながらもしゃもしゃと塩焼肉を食べて満腹度を回復。この要素、アプデで消してくれないかな。そこそこ煩わしい要素よね、これ。単純に料理でバフが掛かる様にするってのじゃダメなんかな。
「とりあえず教わった通りのジャガイモの品質改良を試す……のは後でいいか、ジャガイモ自体がいくらで売れるか確認してみるか」
冒険者ギルドからすぐの所にあるいつものショップに行き、質1ジャガイモをうっぱらう。
ジャガイモ1つで50Zで苗の買値の半分だが、5個作れるので収支自体2.5倍で大きめにプラスだ。まあ、売るわけじゃないんだけど、これ結構な金策になるな。
畑の広ささえあればとにかく植えまくって大量に生産して売り払うのを繰り返す、肥料も特に必要なしに水撒きだけでジャガイモ苗1個で差し引きで150Zは手に入る。
まさか農業ゲームでもやったことをここでやるとは思っていなかったが、あれと変わらないな。あっちはあっちでサツマイモ錬金とか小麦錬金とか、季節ごとにアホみたく稼ぎまくる方法はあったからそれを参考にしてるのかね。
「とりあえず苗に投資」
手持ちの5,000Z全部ジャガイモ苗で購入、1個100Zなので苗50個ジャガイモ250個分、売却してもいいし酒造に全部突っ込んでもいいしで何一つマイナスにはならない。
そうして購入したジャガイモの苗50個をもって自分の畑に行って植える。S畑全面ジャガイモ畑にしてやるわけだが、うん、これ普通によく見る光景だわ。なんならまだ少ないと感じるあたりちょっと感覚ずれてる。って言うか規模小さいよね。コンテナ十数個重ねたりとか日常的にみる私の地元がおかしいわけだが。
50個分の苗を植えて水を撒いていくわけだが、これも何か効率化を考えないとだめっぽい。一応併設と言うか、水の汲める場所とジョウロ自体は備え付けのインベントリにも入らないオブジェクトとして存在したが、大体苗5個分の水を撒いたら水を汲みなおさなければ行けないのがまあめんどい。
「スプリンクラーの開発でもするか?もうこうなってくると訳分からんわ……農業ギルドのレベル上がったらその手の物も販売されるとかありそうだけど……いや、ねえな」
とにかく、水を汲んで撒いて、汲んで撒いてを繰り返して50個分の苗に水を撒いてから煙草で一息。そういえば農業ゲーのほうでも序盤に水撒き大変なのに時間ぎりぎりになる配分で他の事に手が回らなくなるとかざらにやってたわ。
「スタミナ制じゃないのは助かるけど」
ふいーっと紫煙を吐き出してからジャガイモ畑になった自分の畑を満足げに見つめる。うん、すげえ頑張ったよ。早急に時短になるような事をしないとダメだが。
「時間もそこそこ掛かったし、ログアウトして飯と風呂にいくかな」
自宅の中に入ってログアウト処理を進める。で、自宅に戻るってまたおかしい話だな。
HMDを外して一連の流れを終わらせる。
何だかんだで結構長い事やってたわ、リアル18時回ってるし。
「んー……やっぱりどん詰まりと言うか大変だわ、これ」
しばらくやってなかったけどHMDからメモ帳とやる事リストをUSBに落とし込んでからタブの方へと移す。その間に飯の準備と風呂の準備。たまにはシャワーじゃなくて浴槽にちゃんとお湯張って風呂入ってゆっくりするか。
「さーて、とりあえず樽の作り方と酒造と、蒸留でのアルコール濃度の高め方が急務か?とは言えジャガイモ錬金でそのまま酒場で購入するってのも手だし……この辺に関しては長期計画だなあ……」
とりあえず今一番やらなきゃいけないのは今日の飯をどうするかって所かな。この間はピザ頼んで食べたし、いつも通りレンチンご飯と冷食でさくっと済ませるか。だとしても冷食のパターンがあんまりないからそこまで変わり映えしないわけだけどさ。
「チャーハンでも作るかな」
少し前に教えてもらってハマってるマキシマムな調味料をで味付けするとして、具材はあんまりないから余ってたミックスベジタブルと卵でちゃっちゃと作ろう。
まず飯自体はレンチンした後に皿に出して少し冷ましておく。
で、フライパンを温めてからごま油を引いて馴染ませる。油でフライパンの凹凸を無くして滑らかにさせる……のは鉄鍋だっけ?
で、油が温まった所で卵を二つ投入。じゃかじゃかとスクランブルエッグの容量で軽く火を通してからご飯を投入、卵と飯を混ぜ合わせてから、調味料で味を調える。うまみ調味料とさっき言った奴で味を調え炒めて、良い感じになったらミックスベジタブルを混ぜ込んでフライパンを振るって炒めて完了。んで、皿によそって終わり、プラスプーンをざっくり刺して、おわりっと。
「雑に作ったわりにはいいんじゃないかな」
自分が食べる自分好みの味付けなのでこれで作ったとしても他の相手が美味いというかは分からんな。で、作ったチャーハンを頬張りつつ、樽と酒造に蒸留のやり方を調べる。
樽に関しては結構色々種類がある、パイレーツな映画でよく出てる樽、楕円型の金属パーツで固定した洋樽と言われるものから、紐で括って縛るタイプもあるし、色々あるな。
「うげー……作り方結構難しいっぽいじゃん……とりあえずビア樽ってのを作れば正解だよな」
結構工場製品なんだな、がっちり固めてとか内側焼いたりとか、色々行程がある。後はどこまでゲーム処理でこの辺りをスキップできるのかって話になる。
「ついでに調べた酒造に関しては、あの髭親父の言った通り、麹と酵母と水からで一次醪を作って、次に二次醪を作る時に芋を入れてから、蒸留して……あれ、ここじゃ樽じゃなくて壺で作るって書いてあんぞ」
なんかよくわからんくなってきた。いいや、とりあえずWebで仕入れた酒造の手順まるまるメモ帳に入れてぶちこんでその都度見よう、此処であれこれ考えるより、手順を見て確認して、ゲーム処理での手順スキップに期待した方がいいな。
今までの経験から考えれば結構さくっと作ってくれるかもしれない。
「アルコールと言うか酒さえできれば蒸留で濃度をがんがん上げていけばいいだけだから酒までの道のり次第か」
スプーンを咥えたままネットの画面を閉じて、まるまんまコピーした文章をコピペでどんどんメモ帳に入れていく。
「それにしてもアルコールだけでこんなことになるとは思ってなかったなあ」
いつからガンナーの道を踏み外してガンスミスとかファーマーとかやり始めたんだったかな?
「最初からだったわ」
そういいながら食べきったチャーハンの皿を片付けスプーンを捨てて、洗い物を済ませてから雑に服を脱ぎ捨て浴槽でゆっくり温まる。うん、浴槽に溜めて入るの結構めんどくさいのよね。
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