15話 初攻略
銃剣Lv1を覚えただけで随分とマシに戦えるようになった。何て言ったってLv2ラビットに苦戦しなくなったのがでかい。ノンアクティブ相手には確実に先手を取れて2、3発斬り付けれれば倒せるというのがもう、すごい進歩だよね。やはり運営はこの縛りプレイを想定していた。
「だとしても、自力でカスタマイズ見つけて、銃剣で仕留めるまでの難易度がちょっと高い気がする」
何度か使っていたから銃剣スキルがアンロックされたという可能性もあるし、そもそもカスタマイズのスキルも弄繰り回さないとたどり着けないわけだし、なまじβの情報があると銃弾は買える物で、アタッチメントがないと銃に装備が出来ないという事も加味すると、分かるまでに心が折れる。
「諦めないって大事だわ、ほんと」
何体目かのラビットを仕留めて一息。やっと北エリア1の敵だけどうにか負けない様になった。っていうか銃剣一つ覚えただけでだいぶ進歩してるよ。この調子でいけばガンカタも覚えられるよ絶対。うんうん、夢が広がるよ。ただ、そのガンカタって基本銃撃+体術だから、結局銃弾が作れないとって結論になる。
まあとりあえず戦えるようになったし、銃剣で受けと言うか、ガードも何となくできるようになってるから、ダメージと被弾は減ってきている。やっとここにきてフルダイブゲームの醍醐味を感じている。
その実感を噛みしめながらまたラビットを一匹仕留めると、レベルがあがる。やっぱりレベルがあがるSEが来るとテンションあがるよね。
名前:アカメ 種族:ドラゴニアン
職業:ガンナー
基本Lv:6 職業Lv:5
HP:26/27 MP:13/13
STR:5 AGI:12 VIT:2
DEX:12 INT:2 RES:2
スキルP:残5
【スキル1】
二度撃ちLv1 装填Lv2 調合Lv1 カスタマイズLv1 銃剣Lv2
【スキル2】木工Lv1 鍛冶Lv1 錬金Lv2 伐採Lv2 採掘Lv1
【装備】
武器:カスタムM2ラビット(残弾0)×1
その他:銃弾×0
【持ち物】
レーション×6 鋸 鍛冶ハンマー 錬金窯 伐採斧 採掘つるはし
ゴミ×188 木炭(質1)×5 動物の皮×7 下級動物肉×3
所持金:0Z
状態:異常無し 満腹度48%
久々のステータスアップはDEXに1振って、銃剣のレベルを一つ上げておく。これでもう少し動きやすく戦えるだろう。ステータスも他の銃が手に入るまでは別に上げる予定はないので、しばらくDEXとAGI中心になる。って考えてたけどSTRもちょびちょび上げないと防具の装備できないじゃん。
「せめて最低限の服くらいは買うべきかなあ」
とりあえず銃剣のLv2の感触を確かめつつ、もう少し稼ぎを増やして一回戻ろう。MRE……すっかりレーションよりこっちで言っているが、食料も尽きてきてるし?
今まで別に切らしたことも無かったので、とりあえず回復させていたが、満腹度自体が0になると継続ダメージとステータスに大幅弱体の空腹状態になるとマニュアルにはあった。なった事もない状態異常って調べたりしないよね、そういう感じ。
「あのまま金策とか戦闘しなかったら、結局空腹で死ぬはめになったんじゃないかなあ…通行人に、食料くださいって話しかけるとか恥ずかしすぎるわ」
残ったMREを口に放りこみ、最後に銃剣Lv2の具合を確かめるために、いまだに苦戦するLv3の黒リスと対峙する。こいつ自体は別に特殊な能力があるわけではないが、ラットよりも素早いが一回りほど大きくなった程度の相手。じゃあ何で苦戦するかと言うと、単純にレベル分HPと攻撃力が多少高いので、そこでやられるという、至ってシンプルな話だ。
すっかり板についた銃剣を構えて、いつも通りにじりじりと近づいてからの不意打ち頭狙い。傍から見たら完全に通り魔だし、なんなら銃撃てよって言われてもしょうがないよね。
「ど、っせい……!」
感覚的に銃剣Lv1の時よりも体の動きが滑らかになった気がする。そりゃあ一つ二つ上がった程度ですげえ効果増えるとか倍々ゲームで強くなるとかツクール系じゃねえんだぞ。
そんな事を感じ、思いながら板についた突きを繰り出すと、頭ではなく胴体の方に突き刺さり、ダメージを与える。
「やばっ、しくった……!」
突き刺さり悲鳴のような鳴き声を上げているのを見聞きしながら、すぐに銃剣を引いて体勢を立て直す。突いて、引くという動作だけで二撃入ると思っていたが、そんな事はなかった。理由としても引く際に斬るように引けばダメージを与えれると思ったが、流石に一回は一回らしい。
銃剣を引き、構えなおしている所にかみつき攻撃が飛んでくる。そういやリスも鼠の仲間みたいなもんだったわ。 とびかかってくるかみつき攻撃をウサ銃で受け防御。顔は可愛いのに攻撃は急所を狙ってくるって、殺意ありありだよ。
受けた攻撃をはねる様にウサ銃で押し返し、距離を取らせる。直撃ではないが、衝撃までは受けきれないので多少ダメージを受けている。
いくら銃剣スキルが上がったからって身体的なステータスは殆ど変わっていないし、ティッシュ装甲なのは変わらない。なるべく被弾はしたくないので、構えたままで相手の攻撃を待つ。
「よし……こい、こい、こい……」
動いているリスの動きに合わせ、左足と半身を向けたまま追従し、攻撃と言うよりも迎撃に重きを置いた形に。
そして二度目のとびかかり攻撃が飛んでくるタイミングで素早くバックステップ。大体人間一人大きめに歩いた程度の距離だが、攻撃位置をずらすというだけでも効果はある。とびかかってきたリスの頂点は先程バックステップする前にいた地点なので、あとは落ちていくところが下がった私の地点になるわけだ。
「RPGっていうかARPGだよ、もう!」
着地のタイミングに合わせてもう一度銃剣を突き一撃、ねず公よりもかわいげのある悲鳴を上げつつ、ポリゴン状になり消滅。
「ふはっ、疲れる……」
倒したエフェクトを見ながら息を吐き出し、その場に座り込む。もっと剣とか弓とか魔法でがんがん倒せる相手なのは確かだ。ドロップ品はインベントリに直接収納され、取得物はログでしっかり確認できる。それをメニューで確認していると、また一つ問題が発生していた。
『カスタムM2ラビットが破損しました』
序盤のこんな所で武器壊れるってどういう事なの?っていうかマニュアル見てても別に耐久度とかの設定はなかったのに、なんで破損とかなってるのよ、もう速攻でインベントリ確認するわけよ。
名前:M2ラビット 武器種:長銃
必要ステータス:STR5 DEX5
攻撃力:+15 命中:+20
効果:セミオート 命中時固定ダメージ50 装弾数5発
付属品:無し
「あー……そういうことね……」
そういえばカスタマイズした時に書いてあったわ、一定確率で破損するって。まあ、縄は安い道具類だし、ナイフに至ってはT2W最安値の武器だから痛手ではないけど。
「思い入れは金の額じゃないのよねえ」
最初に手に入れた状態に戻った訳だが、こういう初期から付き合ってくれた物がなくなるとちょっと寂しい。こともなく、200Zまた出費がかさんでしまった。
「この辺もカスタマイズのレベルを上げたら破損がなくなったりばらしたりできんのかな」
とりあえず食料と新しい剣先を買わないとまた貧弱ちゃんになるわけだし、良い区切りになった。北エリア1はとりあえず戦える程度になったし、南か東辺りで経験をためて採掘を目指さなければいけない。
「……そういえばクエストとかダンジョンとか見た事ないなあ」
そもそもエルスタンから殆ど出れていない上に黒色火薬作るのに執心しすぎだよ。もうちょっと別の事して気分転換もありかな?って思いついたけど、銃弾無いと何もできないからしょうがないね。寄生プレイは好きじゃない。
T2Wもしっかりとクエストはあるのだが労力的に報酬がちょっと少ないとか、難易度設定が微妙に高い。多分だが、それメインで受ける物ではなく、受けておいて後で報告するようなものだと思う。なんていったって一回も受けた事ないからな!
兎にも角にもエルスタンに出戻り、皮と肉を売り払い、わずかながらのZ(ゼニー)を手に入れ、カスタマイズ用に使う縄を道具屋で、プレイヤーの無人露店で投げ売りされているMREを購入しておく、何か主食みたいな感じになってるけど、可能な限り美味い物を食べたい。
「後はナイフを買って、東エリアでまた戦って…」
いつものように歩きメニューをしていたら、何かにぶつかりまた尻もちをつく。
ああ、これちょっと前にも同じことしたわ。
ぶつかった相手はシェパード顔の犬獣人、私は猫派だと言っているのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます