「クゥーン。」






洋一が驚き声をあげる。


「あらー…まだ仔犬ですね、


生まれたてかな?」






若い女性の従業員、鈴木が話す。


「そうですね、一月はたってると思いますが…でどうするんですか、館長。」






「いや、だから副館長だから…




えっと、まあー保健所かな?」








「そんなー保健所なんて…可哀想ですよ、


絶対ダメです、飼い主探して下さい。」








「そ、そんなー




…だ、誰か飼えないのか?」






周りに居た従業員が一斉に黙った。






しばらくして、


飼いたいけど飼えないなど、こうゆう時お決まりの会話がかわされて、結局何も決まらず時間だけが流れた。








鈴木が話す。


「館長、犬が可愛くないんですか?」






しまった、このままでは洋一が厄介事を押し付けられそうだ、


従業員達の目が洋一に集中した、期待と言うよりは脅迫と思える眼差しだった。

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