第6夜 幽霊従業員のNさん

 このお話は私が勤務している会社で起きたお話です。

 しかしこの時、私は違う支店にいたので、直接関わっていません。


 私の働いている所は、100名以上の宴会も出来る大型飲食店です。

 Nさんはそこのフロントマンとして働いていました。


 Nさんは年配の男性従業員でした。

 綺麗な女性が来店するとテンションが高くなるスケベな一面もありましが、真面目で気さくおじさんでした。


 しかし会社の健康診断で引っ掛かり再検査すると、入院する事になったのです。

 

 なんとNさんの身体から、がんが見付かり、治療のかいもなく、半年後に亡くなってしまいました。


 しかし、Nさんは死後、幽霊従業員として戻って来たのです。


 異変はNさんの葬儀が終わってすぐ起こりました。


 誰もいない客席の呼びボタンが、ピンポーンと鳴るようなったのです。

 しかも頻繁に……最初は皆、ただの機械のエラーだと思っていました。


 しかし、怪奇現象は次々と起こるようになったのです。


 営業中、誰もいないのに服を引っ張られる女性スタッフが続出しました(何故か男性スタッフの服が引っ張られてません。Nさんがスケベだったからでしょうか)。


 誰もいないのに「○○さん……」とNさんに直接、名前を呼ばれる人もいました。


 また、支配人(霊感持ち)が事務作業をしていたら倉庫の扉がガタガタと鳴り、意を決して扉を開けたら、誰もいなかったりしたそうです。


 怪奇現象が続き、現場の士気が下がってしまいました。


 そんなある日、事態を重くみた支配人が、Nさんのいそうな所に向かって「Nさん、戻って来てくれたのは嬉しいけど、アンタはもう死んでるんだし、皆怖がってるから、いい加減に成仏しなさい!」とお説教したところ、怪奇現象はピタリと止まりました。

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