非日常の物語。星空作りの秘密とロウソク職人

サトウアイ

はじまり、はじまり


キャンドルの灯りに照らされた作業場の

乱雑に置かれた道具たちをゆっくりと片付ける。


いつものように、

キャンドルの炎がゆらゆらと揺れた。

炎の上の空気もまた、ゆらりと揺れる。


いつもと変わらない今日が

また終わろうとしている…そう思った瞬間。


穏やかだったキャンドルの炎が

とても大きく揺らぎ、

僕は振り返って辺りを見回した。



その一瞬で、

何となく部屋の空気が変わったような気がした。



いや、そんな事があるわけがない。

と、僕は一人で大きく頭を振った。


ここはただの山小屋。


かつて住んでいたこの小屋で

毎日キャンドルを作り、

一日の終わりに火を灯す。


それだけの空間だ。

そう思いつつ、昔聞いた話が頭をよぎった。

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