第3話 結界戦線
両手をタブレットに添えたまま、無言でメシヤに目配せするレオン。それを見たメシヤが臥龍剣を構える。
マナの聖杯からボコボコと小さく水が湧き出ている。メシヤはすでに要領をつかんでいた。吸水するときは両手でつかみ、右手と左手の握力を交互に強弱をつける。
こうすることで水龍化した水をすぐ剣内にチャージすることが出来る。この日ばかりはメシヤは救世主ならぬ吸水主だった。あとは、根気よく目標の水量に達するまで繰り返すだけだ。
なお、みそぎ滝や夢賀渓で見たような水龍が一握りごとに現れるわけでは無かった。なにしろ水量が甚大なので、ポンプの水送り作業中はいちいち具象化しないように臥龍剣の設計がなされている。それは、鳳雛剣の時も同様だった。
「洪水被害が起きる地域がある一方で、干ばつで食べるものもままならない地域も ある」
なにやら高尚なことを考えているメシヤ。
「これは水害も軽減してオアシスも生み出せる万能のスプリンクラーだね、レオンくん!」
にっこり微笑むレオン。
日が暮れる頃にレオンのOKサインが出て、この日の作業は終了した。
翌朝、メシヤファミリーが集結していた。メシヤ・マリア・イエス・マナ・
エリ・レマ、そしてレオンである。
「では、スレアバ塔に臥竜剣を、プラアバ塔に鳳雛剣を突き刺してください」
「アバンティ!」
スレアバ塔は正面から見て左側、プラアバ塔は右側にある。
「マナさん、聖杯をヨウグ塔に据えてください」
レオンがマナに語りかける
「分かりました」
「他の皆さんは主聖堂に集まってください」
それを聞いてぞろぞろと移動を開始する一同。レオンはシイベル塔に移ってタブレットのキーを叩き出した。
マナが聖杯を据え付けると、すでに突き刺してあった臥龍剣と鳳雛剣が勢いよく輝きだした。ここで位置関係を整理しておきたい。ワシリイ大聖堂の塔は全部で9塔ある。中央の主聖堂を取り囲むように小さな塔が4塔建っている。ここは居住スペース・娯楽スペースになっている。さらにその外側に東西南北に4塔が屹立している。
文字だけで建物の位置関係を説明するのはなかなか困難だが、次の方法はどうだろうか。5×5=25マスで構成された正方形を頭に思い浮かべてほしい。左上から右に向かって、1、2、3とマスにナンバリングしていく。そうすると中央は13となり、最後の右下のマスは25になる。
ワシリイ大聖堂は主聖堂がNo.13、臥龍剣が刺さっている西のスレアバ塔はNo.11、鳳雛剣を飲み込んだ東のプラアバ塔はNo.15。レオンのいる北のシイベル塔はNo.3、マナがいる南のヨウグ塔はNo.23。
そして主聖堂を囲む居住スペースの4塔はそれぞれ、No.7、No.9、No.17、No.19となる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます