第2話 いざ出発
さて、部屋から出た5人は家も出て1度円を作った。5人の片耳にそれぞれイヤホンがついている。
湊 「姉ちゃん聞こえる?」
日葵 「はいはい聞こえてるよ。どこのルートに行くかは決まった?」
颯 「よっしゃー!早く決めるぞ。せーの!」
5人 「最初はグーッ、じゃんけんポイ!」
グー、パー、グー、グー、グー。きれいに1人じゃんけんで勝った。
湊 「じゃあ1番で。」
日葵 「なにー、また湊が勝ったのー?あんたじゃんけんだけは昔から強いよねー」
湊 「そうやって一言多いから彼氏ができないんだよ」
日葵 「何?なんか言った?」
そう言い、湊の耳にだけ大音量で音楽を流した。
湊 「うわーっっ!耳が壊れる!」
慌てて湊は耳からイヤホンを外す。
湊 (聞こえてんじゃねーか)
と思いながら湊はイヤホンの音量が収まったのを確認したうえでもう一度耳にイヤホンを付けた。それからしばらくしないうちに湊の目にわずかな光が入った。
日葵 「どう?ルートいった?」
湊 「ばっちり!」
はたから見ると訳の分からない会話だが本人たちの間では意味が通じている。先ほど部屋の中で配られたケースからつけたもの、それはコンタクトレンズだった。
もちろんただのコンタクトレンズではない。コンタクトレンズに映像を投影することでスマートフォンなどで見ているように映像を直接見ることができる最新鋭のコンタクトレンズだ。
ちなみにこのコンタクトレンズを発明したのも日葵で、これを見たとき湊たちは絶対売れるから売りなよといったのだが、日葵はこれ単独じゃ使い道がないし、別に趣味で作っているだけだから。
と言ったので市場には出回っていないSecret Portのメンバーだけのオリジナルのコンタクトレンズだ。作った当初はカメラの役割だけしかなかったのだが、日葵がアップグレードをしたため、コンタクトレンズが液晶の役割を果たせるようになった。
そうこうしているうちに残りの4人のじゃんけんも終わり、それぞれが番号を言っていく。
彩羽 「3番」
颯 「5番」
有紗 「2番」
亮 「3番」
するとそれぞれに別の映像が転送された。
今回の湊たちの目的は家の周りのストリートビューを作ること。そのためにどのルートを通るのかを決めるためにじゃんけんをしてランダムに番号を言っていっただけなので、じゃんけんにも番号にも特別に意味はない。
日葵 「みんな準備はいい?」
5人がつけているイヤホンに日葵の声が届く。
5人 「準備いいよ!」
そういって5人はそれぞれのルートに沿って進んでいく。今回の最終目的地は家から数分離れたところにある土手なのでどのルートを通っても行き着く先は同じだ。
湊 「今日って何か宿題出てたっけ?」
いつも通り会話をしながらそれぞれの道を進む。
颯 「数学と英語。湊はいい加減先生の話聞くようにしたほうがいいと思うよ」
彩羽 「ほんとに!今日もまた授業中何かしてたでしょ!」
有紗 「そのくせどうでもいい話だけは聞いてるんだから」
湊 「なんで宿題あるか聞いただけなのにお説教されなきゃいけないんだよ!
亮、宿題終わってる?」
亮 「うん終わってるよ」
颯 「なんで学校から直接ここにいるのに終わってるわけ?」
亮 「授業暇だから、宿題出そうなところを先にやっておいた」
湊 「さすがだぜ。明日の朝写させて」
亮 「ダメって言ってもいつも勝手に写してんじゃん」
何気ない会話を続けながら、土手に向かっていく。
珍しく車どおりが激しい。会話の中にノイズが聞こえる。
すると突然
ドン
落下音が聞こえた。
彩羽 「誰かイヤホン落としたでしょ。」
特に誰が返事をするわけでもなく進んでいく。
これは別に彩羽が無視されているわけではなく、話の中心にいた湊が話から外れるとなぜか静かになる流れがあるからだ。
ほとんどの場合、当の湊は別のことに気を取られ話を聞いていない。
そんないつものことなので、特に誰も気にせずに土手に向かっていく。会話も途切れ、静かに進んでいった。
数分後
湊以外の4人は土手に到着した。
亮 「湊―、聞こえるー?お前以外みんな来てるんだけど」
少し待っても湊は来ない。
彩羽 「もしもし日葵さん?湊が来ないんだけど今どの辺にいるかわかる?」
湊の現在地を確認してもらう。
日葵 「ちょっと待ってね。んーと湊の映像はっと。あれおかしいな。またバグかな?映像は受信できてるのに、映像が暗いんだよね。GPSは・・・あれ?土手とは別の方向に進んでいってる。随分速いな。車にでも乗ってるのかな。」
有紗 「え?湊どこ向かってるの?」
日葵 「すこし調べてみるから、みんな一回部屋に戻ってきて」
颯 「湊の奴、また何か変なことしてるのかよー」
彩羽 「どうせまた何か見つけて遊んでるんでしょ。この前も道に落ちてたドローンで遊んでたし」
いつも通りの自分勝手な湊に半ば呆れながら4人は部屋に向かった。
この時はまだ誰も湊に起きていることに気づいていなかった。
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