第42話『霊魔襲来・2』
魔法少女マヂカ・042
『霊魔襲来・2』語り手:マヂカ
ブリンダと二人で飛び出すのと煙室ドアに擬した主砲から量子パルスが発せられるのが同時だった。
傀儡とはいえ、清美の砲手としての技量はなかなかのものだ。
ズビーーーーーーン
量子パルス空振りの音、もともとブリンダと二人で飛び出して攻撃態勢をとるための時間稼ぎに撃ったのだ、空振りでいい。
ブリンダは三時の方角へ、わたしは九時の方角へと正反対の方向に向かう。ドラゴンに一瞬の迷いを強いるフォーメーションだ。タイミングさえ合っていれば、コンマ二秒の遅れを敵に強いることができる。
コンマ二秒先んずれば、先制の一撃を食らわせられるのはこちらだ。
ドラゴンはブリンダに向かった。先制攻撃はこちらのもの!
しかし違った!
ここは、ドラゴンが巻き起こした低気圧のど真ん中。暴風雨はドラゴン自身の呼吸だ! 見えざるドラゴンの手足だ!
暴風にのったドラゴンの前足が信じられないスピードで伸びていく!
あっという間に数百メートルに伸びた前足がブリンダの足を弾く!
アーーーーーーーーーーーー!!
弾かれた勢いで、ブリンダはきりきり舞いしながら流されていく。
このままでは、体勢を立て直す前にドラゴンの第二撃を受けてしまう。
セイ!
勢いをつけて、低気圧の中心に向かう。中心からの力を借りてドラゴンに立ち向かうためだ。
トーーーー!
流れに乗ってドラゴンを指向する!
あ!?
一瞬早くブリンダは体勢を立て直して攻撃態勢を立て直しつつあり、それに対応してドラゴンは進撃の方向を変えていた。いったん勢いをつけてしまったので、軸を戻すことができなくて、ドラゴンの尻尾を掠っただけに終わってしまう。
制動を掛けて方向転換しようとすると、ドラゴンのかぎ爪が目の前に迫る!
身をよじるが、コンマ一秒間に合わず左わき腹をかぎ爪が引っかける!
痛い!
かすり傷だが、音速以上の高速運動をしているので、傷口からラインを引くように血が流れる。
グオーー!
たけり狂って追って来る。その後ろをブリンダが超高速のアタックをかけてくるが、さっきのわたしのように軸線がズレてドラゴンをとらえきれていない。
連携が出来ていない!
ブリンダも同じ思いなのだ、一瞬見えた横顔は同じようにいら立っている。
ただ、わたしと違うのは、いら立って、なを美しいのだ。ほんの一瞬だけど、その美しさに感動してしまう。
ドラゴンと二人の距離が開いた時に、清美の思念が飛び込んできた。
避けて!
ズゴーーーン!
パルスがドラゴンの翼を貫いた。
「「今だ!」」
ブリンダと思念が重なる。
トゥラアアアアアアアアアアア!!
二人の斬撃がドラゴンの胸のあたりで交差し、ドラゴンはバグったように低気圧の真ん中で静止!
ドゴーーーーーーーン!
衝撃と共にドラゴンは四散した。
肩で息をしながら高度を下げる……いつのまにか瀬戸内海の上空、東の空が白み始めていた。
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