感想屋(アニメ)
宮本摩月
PSYCHO-PASS シーズン1/TVアニメシリーズ
かなり面白いが内容は高度で、半分も理解できたか自信がない。繰り返して観ることでより深く味わえる作品だと思われる。
が、全容が理解できなくとも随所に登場する近未来ガジェット、都会の風景描写のセンスの良さ、男性キャラクターのカッコよさだけで楽しめる。
近未来刑事モノのように始まるこの作品は、やがて近未来の体制、そして体制下に飼いならされた市民たちの歪さにまで話が拡がり、アウトロー側との対立に留まる刑事モノの枠を超えていく。
体制の正体はグロテスクだが、体制を崩壊させれば、世界に類を見ない繁栄と秩序をも崩壊してしまう。平和と安定を司る体制の正体を知ってしまったヒロインは苦悩し体制を嫌悪するが、体制維持を選ぶ。
魅力的に描かれた男性キャラクターに比べると、甘くありきたりの優等生のような薄いキャラクターだったヒロインが苦悩と修羅場を重ね成長していく。
そして最終回で新入りを迎えるシーンは第一回との対比が鮮やかで、彼女の成長を象徴する熱くセンスのいい締め方だ。
シーズン1では、このグロテスクな体制の問題は未解決で、シーズン2以降どう展開するのかは予想もつかない。
刑事という体制内の存在である以上は、このシステムを壊すことはできないはずだ。はたして彼らはどういった選択をするのだろうか。
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