第9話 補習
「全科目赤点な私が悪いとは思いますけど」
「そうだな。それで終了な話だな」
「続けさせてくださいよ。思いますけど、それにしたって多くないですか、課題」
「そんなお前のために毎回付き合ってあげている優しい担任に何か言うことは」
「ありがとうございます、先生」
「宜しい」
「優しい九条先生はきっと課題を減らしてくれると信じてる」
「人の夢と書いて儚いと読む」
「教師の言う台詞じゃないですよ、それ」
「教師も一皮むけばただの人だからな。あ、そこ計算ミスってるぞ」
「電卓を申請致します」
「申請は却下されました」
「うっ、うっ……、終わらない……」
「お前も毎回毎回飽きないな、しかし」
「私がわざと赤点を取っていると」
「いや、お前の実力の賜だとそこは疑っていない」
「ふっ、甘いですね先生。実は、私が先生と二人っきりになりたいが故にわざと赤点をとり続けているお茶目で可愛い」
「次のネタはそれか、先生」
「締切間に合わないんですよォ!! お願いします先生! 本当に今月はマジでやばくてもう帰って原稿に取りかからないと本当にヤバイんですぅぅ!!」
「売れっ子漫画家は結構だが。その前にお前は一人の女子高生だ。卒業したいならきっちり課題に取り組め」
「うわぁぁぁ! 卒業したいですぅぅ! でも原稿落としたら担当さんがッ! 担当さんがッ」
「締切違反常習犯なお前が悪い」
「この前ネットでペンチ購入してやがったんですよあの人! 爪!? ねえ、爪ですか先生!!」
「漫画家の指に攻撃はしないだろ」
「じゃあ歯だぁああ!!」
「あ、そこ計算ミスしてるぞ」
「うわぁぁぁ!」
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