第6話 赤ずきんさん
「スルメ取って」
「なあ」
「あと熱燗欲しいから、お湯沸かして」
「なあ」
「はァ!? なにこれ! 有名アイドルが某女優と熱愛結婚だァ!? ふざけんなババア!! てめぇ何個下のガキに手ぇ出してんだよ!!」
「なあ!」
「うるっせぇな、ンだよ!! 熱燗とスルメはどうした!!」
「どうしてこうなったんだよぉぉおお!!」
「おいおい、泣くなよ狼。いきなりどうした更年期障害か?」
「そりゃあの時は俺が悪かったさ! あんたを騙して婆さんまで食べたのは反省してる! でも、だからってこれはないだろう!!」
「はぁ……、一体全体なにがどうしたってんだよ。ん? 何が不満だ? 確かに俺とお前はちょいと昔にイザコザがあったがそれはもう水に流してずっと仲良くやってきたじゃねえか」
「何歳だよ、お前! ずっっっっとだらだらして、しかも赤ずきん被り続けてさァ! 年齢考えろよ! てか、結婚しろよォ!」
「お。それは差別発言だぞ? 今時は結婚するしないは本人の自由ってもんで」
「じゃあ働けよもぉぉお!」
「おいおい。何のためにお前に喰われたと思ってんだよ。あの時の話の印税がっぽがっぽで遊んで暮らしていけんじゃねえか」
「俺もまさか自分の話をそのまま絵本チックに改造して売り出すとは思ってもみなかったさ! ああ!」
「ふっ、才能が……、あったのさ……」
「最近近所の人たちの見る目がどうなってるかとか気にしてくれよぉ! 俺は狼なのに、近所の人からあなたも大変ねって優しい目をされるんだぞ!?」
「良かったじゃねえか。狼は海外じゃ悪者だが、日本じゃ獣編に良いと書くそれはもうありがたい獣としてだな」
「世界観無茶苦茶になるからそういう話はやめろォ!!」
「ちなみに牧畜文化なのかそうでないかでこの考えが変化しているという説もあってだな」
「止めて?」
「はいはい。でもよ、狼。早く結婚しろってのは酷なもんだぜ」
「結婚させられる相手がか」
「俺がどうして何年も結婚しないと思うよ」
「出来ない」
「それはよ。ずっと想っている相手が傍にいてしかも俺の気持ちに気付いてくれないからでさ」
「本音は」
「犯罪を犯した罪悪感で働いてくれる奴隷が居て、印税もあって困らない暮らしのなかで他人とわざわざ生きるとかまじめんどう」
「もぉぉぉおお!!」
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