私達、付き合ってます。
白神 木乃葉
第1話 「入学」
[ 主に出てくる人物 ]
有栖川 小豆(ありすがわ あずき)
高一の女子校生。桜ヶ丘高校の生徒 ショートカットでややツリ目こちらから見て左の目の下にホクロがある。葉澄と一緒のクラス。
天花寺 葉澄(てんげいじ はすみ)
小豆と同じ桜ヶ丘高校に通う高一の女子校生。腰まである艶のあるサラサラな黒髪、姫カット目はおっとり右耳の上あたりにリボンをつけている。
ー2人は付き合っているー。
ある春の桜が舞い散る日。私たちが通う桜ヶ丘高校はこの日、入学式でした。
「お母さん、そろそろ行ってくるわ。」「はーい、小豆、気を付けてね。」「うん」
そう言って私は微笑みながらスクールバッグを持ってドアを開けた。
外は少しだけ暖かくて、まだ少し、肌寒かった。私は歩いて5分の駅に向かいつつも、桜の木を見ながら春を楽しんだ。
駅に着いたらすぐに電車が来たので、足早に乗り込んだ。
次の駅に着くと同じ制服の子が乗り込んできた。制服のリボンが同じ色なので同学年という事が分かった。その子は黒髪ロングがとても似合っていて肌が白く物凄く美人だった。
(あの子と同じクラスになれたりしないかな……)と思いながら、その子の方をぼーっと見つめていたら不意に目が合った。その子の瞳はとても綺麗だった。体の動きに合わせてフワッと動く髪、その美しい姿を見てゴクリと唾を飲み込んだ。その子はただニッコリと微笑んで、窓の方を見つめていた。その横顔の輪郭をなぞりながら視線を落として、自分の足元へと視線を戻した。(今度また会ったら話そ……別に後で会うかもしれないけど)そんなことを考えていたら、目的の駅まで着いてしまっていた。あの子はもう電車から降りていて、
私はあのこの後を追うようにして電車から降りていった。
その駅から5分くらいで着く学校なので、登校中の沢山の生徒の中にあの子は消えていったが、
後できっと会える、不思議とそんな自信が湧いていた。
靴から体育館シューズに履き替える。指定の席へと座って、隣の子に軽く挨拶をした。
それからどんどん進んでいき、新入生代表が呼ばれた「新入生代表、天花寺 葉澄」
「はい」落ち着いた可愛らしいその声の方を見ると今朝会ったあの子だった。どこからか「綺麗……」という声が聞こえた。思わず私も頷いていた。(やっぱり綺麗だよね……。私が男子だったら即告白してるわ……)なんて考えていたら、すぐに入学式は終わってしまった。教室で点呼がされて気付いた。
「同じクラスじゃん……」嬉しさのあまり、つい声に出てしまった。この時ばかり神様にお礼を言いたくなったことは無いだろうと思って、ずっとその子のことを見ていたら。もう帰りになってしまった。私は帰りの準備が終わったので帰ろうと思い、教室を出た。
それから少し廊下を歩いて行くと、急いで走っている足音が聞こえた。
「あの……!」ほとんどの生徒は帰っていて、しんと静まり返った廊下に響いたその声の主は、「葉澄さん……」少し頬がピンクに染まっている彼女の顔を見て、思わずドキッとしてしまう。「葉澄でいいよ……」恥ずかしそうに下を向きながら、長い髪を耳にかける葉澄の姿を見て鼓動がより早くなる。というかなぜ話しかけてくれたのだろう。そんなことを思い、「どうしたの?は、葉澄……」と名前を呼び捨てにして聞いてみる。
「あのね。ずっとお礼言いたくて……あの時は……ありが…とう!」そんなことを言われて頭の中がハテナでいっぱいになった。それだけ言って恥ずかしそうに葉澄は走っていった。
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