第4話 幸せな時って案外気が付かないし、時間って概念が無くなるよね

 もちろんその言葉は冗談であった。というか、僕は今でもその言葉を冗談であったを信じている。冗談でなかったら僕はこの話をここに書きはしない。オチがひどすぎる。


 そんなこんなで僕は彼女とLINEのやり取りを成立させることに成功した。


 軌道に乗るまでのやり取りに関しては、暇があったら書いてみることもあるかもしれない。多分ない。ただこの手法は今でもよく使っている。成功率は100%。当たり前である。返ってきたらそれは最早やり取り成立なのだから。


 そんなこんなで、はや2ヶ月の期間が経った。そう、2ヶ月間僕は天使様との意思疎通に成功したのだ。もはやどこぞの宗教の巫女様より成功率が高くはないか。そっち系の才能があるのかもしれない。就職先の候補に入れておこう。


 2ヶ月間は飛ぶように過ぎていった。


 朝起きる。彼女からLINEが返ってきているのを通知欄で確認する。

 僕の開いているかどうかよくわからなかった目がぱっちりと開き、覚める。

 覚醒とはよく言ったものである。


 あのときの僕は毎日金髪野郎になっていたのだ。

 戦闘力百倍になるやつ。

 実際は∞倍。


 もちろん返す。駆け引きなんてそこにはない。返ってくることが神の御業なのだから。


 そして僕は学校に登校する。


 廊下で彼女を見つける。視線が交錯する。手を振られる。幸せすぎて意識が飛びかける。


 帰りの電車に乗る。

 彼女からLINEが返ってくる。

 心の中では全力、現実には小さくガッツポーズ。


 そして家に帰り、彼女に返すラインの文面を考える。

 じっくり考える。

 少なくともこの文章を考えるよりはじっくり考えていた。


 そんな日々が二か月近く続いたある日、あるイベントが近づいてきていることに気が付いた。


 そう、男の汗と血が舞い、涙を流すもの、雄叫びを上げるもの、誰もが勝者になろうともがく青春を代表する舞台の一つ。



 球技大会である。




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