~双方が為に~

なべちん。

第1話 願望なし男

男  「カタカタ・・・カタカタ・・・ポチッ」


男  「はぁ・・・また残業かぁ・・・」


    御手洗 明 32歳 しがない中間管理職


    毎日平凡と暮らしていく日々

    たまの休みも夕方まで寝てからフラフラ一人飲みをしにいくか

    おいしくお酒を飲む為にという安易な考えで自分の為だけのグラスを

    作りに月1で通っているサンドブラスト教室。

    あとは愛ネコハラミと戯れる事

  

    こんな生活をただ繰り返す日々・・・・


    こんな生活だが嫌いではないし苦にもならない

    むしろこの生活リズムだけが救い


明   「このままの生活でずっと生きていくのも悪くないかな・・・」


    こんな彼だが、どうしても耐え難いというか鬱陶しい事が一つだけある。



同僚A 「御手洗~先に帰るぞ、早く帰ってこいってカミさんが うるさくてさぁ~」


明   「おぅ、お疲れ~」


同僚A 「お前も早く嫁さんもらって落ち着けよなー」


明   「はぃはぃ・・」



    またこれだ、30過ぎたあたりからやたら周りから言われる結婚しない

    のか発言。両親、兄弟、上司や同僚、友人と・・・・

    結婚が良いもの思っていない俺にとっては苦痛でしかない。

    もし結婚なんかしたら自由に生活出来なくなるじゃないか

    それのどこが良いのか・・・理解できない。


明   (まぁ結婚どころか彼女すらいない俺がなに言ってるんだか・・)

    「馬鹿なこと考えてないで早く終わらせて帰ろう・・・」





~次の日~





同僚B 「よ~御手洗おはよう!昨日も終電逃したか?」


明   「あぁ、おはよう、昨日は滑り込みで最終間に合ったよ」


同僚B 「そりゃ良かった笑 まぁ独り身だから何時に帰っても誰も何も

    言われないしな!」


明   「うるさいよ、それより午後からの会議資料終わったのか?」


同僚B  「いや、その相談をしたくてさ!」


明   「今日は相談にのってやれるほど余裕ないから自分でなんとか

    しろよ、じゃな」


同僚B 「なんだよ冷て~な~!おい!御手洗~」



     今日は大事はプレゼンの資料をまとめ終えなきゃならないんだ。

     明日はサンドブラスト教室、それを休日出勤なんかにしてたまるか!



後輩  「明先輩~プレゼンの最終資料まとめたので確認お願いします!」


明   「ご苦労様~あとは確認しとくからたまには早く帰りな~

     まだ新婚なんだし」


後輩  「ありがとうございます、最近遅かったんで休日まで仕事だと

     やばかったんですよ~」


明   「そりゃそうだ笑 また来週からも忙しくなるからしっかり休んどけよ」


後輩  「それはそうと、先輩は結婚しないんですか?」


明   「・・・・・ん?」


後輩  「ん?っじゃなくて笑、彼女さんとかいるんですよね?」


明   「いや、いないよ」


後輩  「そなんですか、よかったら嫁の友達とか紹介しましょうか?」

明   「ん~いいや笑」


後輩  「そっすかぁ、気が変わったら言ってくださいね、先輩には

     お世話になってるんで、ではお先です」


明   「お疲れ~」(良い後輩だな笑)




~週末~




明   (さ~て、良く寝たし教室で先月のグラスを仕上げてそのグラスで

     飲むぞ!)


    「ハラミ~行ってくるよ~帰りにハラミの好きないつものご飯

     買ってくるから良い子で待ってるんだぞ~」


ハラミ 「ミヤァァ~~ァ」



先生  「御手洗さんこんにちは、今日は最終仕上げですね」


明   「こんにちは、今日も宜しくお願いします、今日はこれで

     風呂上りに飲むって決めてるんで!」


先生  「すごい意気込みですね!では慌てず綺麗に仕上げていきましょう」


明   (ふぅ・・・黙々と作業しちゃった、なかなかの仕上がりだな)


先生  「御手洗さん上手に出来ましたね~」


明   「ありがとうございます、集中しすぎて時を忘れましたよ笑」


女生徒 「可愛いですね~タヌキですか??」


明   「あ、いえ、うちの猫です・・・///」


女生徒 「あっ、ごめんなさい・・・そうでしたか・・」


明   「いえ、間違えてもおかしくないくらいポッチャリしてますから笑」


女生徒 「そ、そうなんですね、可愛い~です///」


女生徒 「私なんて星を散りばめた柄にしたかったのですが

     金平糖みたいになってしまって・・・」


明   「そんなことないですよ!綺麗に仕上がってると思います」


女生徒 「ありがとうございます!完全に失敗作だと思っていたので

     少しうれしいです」


先生  「紗香さんはまだ始めたばかりだからこれからどんどん上手に

     なりますよ!」


紗香  「はい!がんばります!」


明   (紗香さんって名前なんだ、何度かここで見かけたことはあったけど

     まともに話たのは初めてだな・・なんかちょっとドキドキして

     しまった・・・・)



~その夜~




明   (さて、晩酌の準備が出来たぞ!)


    「ゴクッ・・・ゴクッ・・・」


    「くぅぅぅ~~うまい!自分が手掛けたグラスで飲むのは

     また格別だな!」


    「ほら、ハラミ~お前の絵だぞ~~」


ハラミ 「ムシャムシャ・・・・」


明   「いつまで食べてるんだ笑」


明   (この唯一の楽しみがあるから明日からまた頑張れるんだ)


紗香  (~可愛いですね~タヌキですか??~)


明   (ふふっ・・・タヌキって)




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