第39話薬が必要だけど大丈夫だよね?

翌朝、私達は飛空艇を修理してくれる技術者ロトに会いに隣の町『マテリアル』に向かった。

その道中でのこと。

「ん、あそこに人が倒れているぞっ!」

兄が人影を発見した。すぐにみんなで駆け寄ると男性が倒れている。

「おい、大丈夫か!?」

兄が声をかける。

「・・・ダメだ。もう息がない。」

「魔物にやられたんでしょうか?」

私が尋ねると、ミンティアが男性の体を調べ、話しかける。

「いえ、これは病死ね。あら、手に何か握っているわね。」

ミンティアが男性の手を開くと紙が出てきた。

「おそらく意識を失う直前に書き記したのね。読んでみるわ。『どうかマテリアルの人たちを助けてください。謎の流行り病によって町の人たちが苦しんでいるのです。』」

「マテリアルの人たちが病気だって!?」

兄が叫んだ。

「じゃあこの人は町の人たちのために助けを呼ぼうとしてここまできたんですね・・・。」

するとマドカが口を開く。

「とにかくこの方をこのままにはできませんね。私達で弔ってさしあげましょう。」

そして私達で男性の遺体を埋葬した。

しばらく進むとマテリアルの町に到着した。

町の中には人の気配がまったくない。

「とにかくまずはそこの家に入ってみよう!」

とりあえず手近な民家に入ってみることにした。

ノックしても返事はない。

中に入るとベッドに横になっている住人がいた。息はあるようだが意識を失っている。

するとミンティアが住人の身体を診る。

「原因はウイルス性の肺炎ね。とりあえずこれを注射すれば・・・。と、これでひとまず心配ないわ。」

ミンティアが注射を終える。

「とりあえず一軒一軒見てまわらないとな。」

兄がそう言うと、外に出た。

するとミンティアが瓶を取り出す。

「みんな、この薬を飲んでおいて。ウイルス性だから間違いなく感染するわ。」

そして全員ミンティアの薬を飲んだ。

順番に民家を見て回り、住人を治療していく。しかし数人はもう息のない住人もいた。

最後の家に到着し、住人に注射をする。

「なんとか薬が足りてよかったわ。」

ミンティアが言うと、住人が開いた。

「あの、私で最後っておっしゃいましたか?」

「ええ、順番に回ったからこの家が最後よ。」

「町はずれにある家はまわりましたか?町はずれにもう一軒あるんです。」

住人が言う。

「なんですって!?困ったわ。薬はちょうど今ので使い切ってしまったわ。」

「そうか。とりあえず町はずれの民家に行ってみよう!」

そして町はずれにポツンとある一軒家を見つけた。

一応ドアをノックすると中年の男性が出てきた。

「なんだね、あんたらは?」

男性が話しかける。

「いや、俺達流行り病が蔓延しているので治療してまわっているんだ。あんたは大丈夫なのか?」

兄が男性に尋ねる。

「俺は別に病気なんかじゃない。作業の邪魔だから帰ってくれ!ゴホっ、ゴホっ!」

「いや、咳をしてるじゃないか。とりあえず診てもらってくれないか?」

「そこまで言うならまぁいいだろう。」

そしてミンティアが診る。

「やはり感染しているわ。でもまだ初期だからしばらくは時間の猶予があるわね。薬を調合するのに必要な材料はだいたい揃っているんだけど、あとドライアドの皮が必要なの。このあたりで売っていないかしら?」

「ドライアドだと?そんな貴重なもんこんな田舎で売ってるわけないだろ。あ、そういや北の森で遭遇したって話を聞いたな。頼めるか?」

男性がミンティアに答える。

「もちろんよ。薬師として病人は放っておけないわ。」

「すまない。俺にはまだやらなきゃならない仕事があるから死ぬわけにはいかないんだ。まだ名乗ってなかったな。俺の名はロトだ。」

するとマドカが話しかける。

「あなたがロトさんでしたか。タチバナリュウをご存知ですか?私の父なんですが。」

「なに?リュウの娘だと?あの野郎いつの間に・・・。」

「やはり知り合いでしたか。父の話し方でそうではないかと感じていたんですが。」

「まぁな。若い頃にちょいとな。ケンカ友達ってとこか。」

ロトが話す。

「とりあえず今はドライアドの皮を手に入れましょう。あなたは私達が帰るまで安静にしておきなさい。でないと死ぬわよ?」

「わかった。あんたのいう通りにする。」

そして私達は北の森へ向かった。

森に入ってすぐ、マドカが弓矢を放った。

飛んだ先を見ると狼の魔物に命中していた。

「マドカさんすごいです!全然気づきませんでした。」

私はマドカに話しかける。

「いえ、私魔の気配に敏感なんです。」

しばらく進むと、またマドカが弓矢を放つ。

矢は命中したが構わず襲いかかる。大きな熊の魔物テリーベアだ。どうやら急所を外したようだ。

「電光關火っ!」

兄が熊の首を落とした。

「後ろからきます!」

マドカが叫ぶ。

そして最後尾にいた湊が剣を構える。

すると草むらから魔物が飛び出してきた。

ヘビの魔物が襲いかかる。

湊が斬りかかり真っ二つになる。倒したかと思ったが、斬った上半身がマドカめがけて飛びかかる。

「キャーっ!!」

「マドカちゃんっ!!」

湊が間一髪マドカをかばい湊の足にヘビが噛み付く。

「くっ・・・!このっ!」

剣を振り下ろしヘビにトドメをさし、湊は片膝をついた。

「湊さんっ!!大丈夫ですか!?すみません、私のために・・・。」

「マドカちゃん、怪我はない?」

「は、はい。私は大丈夫です。ありがとうございます。」

マドカが湊に頭をさげる。

そして私は湊にかけより湊に治癒魔法をかけた。

しばらく進むと目当てのドライアドに遭遇した。

『人間よ、でてゆきなさい。ここは私の森です。荒らすのは許しません。』

木から女性のような姿が現れ私達に話しかける。

すると兄が話しかける。

「・・・というわけなんだ。」

『なるほど。事情は理解しました。森を荒らすつもりはないのですね。ではこれを持っていきなさい。』

ドライアドはそう言うと自らの木の皮の一部を手渡した。

「ありがとう。恩に切る。」

そしてドライアドの皮を手に入れた。


マテリアルに戻り、ミンティアが薬を調合しロトの家を訪ねた。

そしてロトに注射を終える。

「ありがとう。あんたらのおかげで助かったよ。」

すると兄が話しかける。

「・・・というわけで修理できる人を探してたんだ。」

「なるほど。・・・いいだろう。助けてもらった礼に見るだけ見てみよう。案内してくれ。」

そしてロトを連れて神殿に向かった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る