第22話武術大会だけど大丈夫だよね?
そして武術大会当日。
「武術大会に参加されるみなさん、ただいまよりトーナメントの抽選を行います。」
さすが大規模な大会だけあって参加者は50人くらいいるだろうか。鎧で身を固めた者や、いかにも魔術師な格好の人で溢れている。
「お兄ちゃん、抽選ですよっ。いきましょう!」
「わかったからひっぱるなって!じゃあ行ってくるな!」
「頑張ってねお兄ちゃんっ!」
「行ってらっしゃい。」
私に引っ張って連れて行かれる兄をリアとミンティアが見送る。
「同じブロックにならなきゃいいな。ほのかとは決勝で戦いたいからな。」
「そうですねっ。私もお兄ちゃんとあたるのが楽しみですっ!」
トーナメントはAブロックとBブロックに別れていて両勝者で翌日決勝戦を行なう形式だ。
そして抽選を終えた。
「俺は…Aブロックの第2試合か。ほのかは?」
「私はBブロックの第1試合ですね。お兄ちゃんと別のブロックでよかったですっ!とりあえず一緒に最初の試合を観ましょうか。」
そして私達は出場者待機席に向かう。
試合会場は、四角にある結界石によって結界がはられており観客席に攻撃は届かないようになっていて致死ダメージを受けると外に出されるようになっている。
「それでは第1試合をおこないます!両者舞台の中央へ!」
レフェリーがそう言うと、普通の剣を構えた小柄な剣士と巨大な剣を持った屈強そうな剣士が現れた。
「すごい剣ですね〜。」
「ああ、当たりさえすれば一撃で相手を倒せるだろうな。でも大きいからスキが多くなる。」
私と兄が話していると試合が始まった。
小柄な剣士がすごいスピードで斬りかかるが巨大な剣で防がれる。そして巨大な剣を振り上げた瞬間、小柄な剣士が胴に一撃をいれる。しかしダメージが少なかったようで振り下ろされた巨大な剣にやられた。その瞬間小柄な剣士が外に出される。
「次は俺だな。勝ったら今の巨大な剣が相手か…。」
「お兄ちゃんっ!頑張ってくださいっ!」
「おう!まかせろ!」
そして兄が舞台に上がる。
相手は杖を構えた魔術師だ。
試合が始まると魔術師が詠唱を始める。
「電光關火!」
詠唱を終える前に兄が超スピードで攻撃した。そして魔術師がそして出される。
「勝者、ユウタ!」
一瞬で勝負が決まってしまった。
「さすがお兄ちゃんですっ!」
「相手が弱かっただけだよ。ほのか以上の魔術師はいないだろうしな。」
その後、次々に試合が行われ、兄は順調に勝ち上がっていった。
そしてAブロックの決勝が始まる。
「お兄ちゃん、あと1人ですよ!」
「じゃあ、行ってくるな。」
そう言うと兄が私の頭を撫でて舞台に上がっていく。
「ただいまよりAブロック決勝を行います!」
そして両者舞台の中央に行く。相手は兄と同じくらいの体格の剣士だ。
試合が始まると剣士が先制攻撃をしてきた。
「ソードウィップ!」
剣士が剣を抜くと、なんと剣がムチのようにしなり兄に襲いかかる。
「くっ!こんな攻撃じゃ動きが読めないっ!」
兄が紙一重で攻撃をかわしていく。
「とりあえず間合いをあけないと…。」
剣士から距離をとる。
「これならどうだ!ホーリーショット!」
光のの斬撃が飛んでいくが剣士に当たると消えてしまった。
「なにっ!?人間には効果がないのか!」
聖魔法は邪悪な存在にしか効果がないみたいだ。
「よし、一か八かだ!身体強化、電光關火!」
兄が剣士の懐に超スピードで飛び込む。しかし相手の剣が襲いかかる。それを兄が抜いた刀で防ぐと、
「双竜閃!」
反対の手に持っていた鞘が燃え上がり剣士に直撃した。その瞬間剣士が外に出される。
「勝者、ユウタ!」
レフェリーが兄の勝利を宣言した。
「なんとか勝てたみたいだな。相手はなかなかのウデだったよ。」
「でもさすが私のお兄ちゃんですっ!」
帰ってきた兄に私が抱きつく。
「でもだいぶヘトヘトだよ。」
「最終決勝が明日でよかったですね。あ、今からBブロックが始まりますよっ。じゃあ、私は第1試合なので行ってきますね!」
「ああ、頑張れよほのか。でもほどほどにな。」
そして舞台に上がる。
相手は全身黒い鎧で固めた剣士だ。
「じゃあ行きますよっ!蒼き炎よ…。」
私が詠唱を始めると、
「ディスペル!!」
黒の剣士が手を前に出しそう言うと私の魔法が消えてしまった。
「えっ!?」
驚いたのもつかの間黒の剣士が攻撃してきた。
「暗黒剣…。」
遠くから黒い斬撃が飛んできて私に直撃する。そして私は外に出されてしまった。
「勝者、マイル!」
レフェリーが黒い剣士の勝利を告げる。
そして待機席に戻ると
「ほのか、大丈夫かっ!?」
「はい、まだ少し痛いですが治癒魔法で治療してもらいました。」
「でもまさかほのかが負けるなんて。いったいあいつは…。」
「どうやら一定時間魔法を使えなくする技みたいですね。しかもお兄ちゃんのホーリーショットみたいに剣撃が飛んできました。」
「さすがに魔法を封じられたらほのかじゃ勝ち目がないよな。」
そしてBブロックの試合が進んでいき、黒い剣士は全試合一撃で相手を倒して勝ち上がった。
「最終トーナメント決勝戦は明日行います。」
司会がそう言うと1日目を終了した。
「お姉ちゃんっ!大丈夫だった!?」
会場を出るとリアが話しかけてきた。
「ええ、大丈夫です。心配かけてごめんなさい。」
「まぁ元気出しなさい。決勝にはユウタが勝ち上がったんだから。」
ミンティアが私を励ます。
「それにしてもあのマイルって剣士はそうとう強いわね。人間離れしているというか、普通じゃないみたい。」
「そうだな。でもあの構えはどっかでみたことあるような気がするんだよなぁ。」
「まぁ、今日は明日に備えてゆっくり休みましょう。」
ミンティアがそう言うと、私達は家に帰ることにした。
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