血を吐きうずくまる、誠也君。




「…何で…奈緒美さん…」






「実はね、私が来たとき、鍵掛かってて中に居た子が開けてくれたの…でね…今は…」






私は、押し入れを指差した。






「うふふ。」






「奈緒美ー。」






………






押し入れの中には、あの化粧が下手なレジの子が、グニャリと押し込まれていた。








「うふふ。」










「何でだよ、奈緒美。」






「もう、訳が分からなかったのよ…浮気も夫婦生活も…どっちも失敗じゃない…」








「ぐふっ。」






誠也君は腕の力だけで、押し入れに近付く。






「ほら、見てよ…なんなのよ。」






私は、誠也君に最後のキスをした、唇は使わずに包丁で。








「…奈緒美…どうしてなんだ?何をしているか分かっているのか?」






「うふふ。」






アパートを取り囲む様にサイレンが近付いてきた。






「うふふ、迎えが来たわね。」






私は、血だらけだ…でも、後悔はしていない!?






愛する人の血に染まっているのだから…






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