こんな、ウキウキの気持ちになった後は、必ずガッカリする。






麻婆豆腐は冷めて、冷蔵庫に仕舞われ、私は、一人で淋しく夫の帰りを待つのだった。






「はー。」






渇いた溜め息が、どんどん私の心を渇かしていく、カサカサになった私の心は今にも崩れて壊れてしまいそう。






彼の笑顔に会いたい…






彼の笑い声が聞きたい…






彼の社交辞令に甘えたい…








………甘えてしまえばいい。










「ねー、やっぱり、作ろうかな?」






「え、どうしたんですか?」






「うん、何でもない…」






彼は、小さな紙切れを私の手に……置いた。








そこには、「連絡下さい。」の文字と十一文字の数字が書いてあった。








白い紙に、黒い字、モノクロのはずのその小さな紙切れは……




恋心に染まっていた。








「あ、もしもし…向井君ですか?」






「あ、どうも…奈緒美さんですよね?


良かったー連絡来ないかと思ってました。」






「え!?何で。」






「だって、あれからスーパーに来てくれてないから…」






「あー、行ってはいるのよ…まぁーお昼にだけど、何か恥ずかしくて…」






「奈緒美さんは、おこりんぼで、恥ずかしがりやさんですよね?」






「そうかな?」






「あははは、そうですよ。」






「うふふ、そうかもね。」

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