第25話 お願いは成功しない?

 [どうだ、ミツル話の詳細は分かったか?]


 ヨハンによって連れ戻されたアールヴは戻ってくるなりミツルに問いかけた。


 (あー、うん。詳細の方は分かったよ)

 [なら、どうすんだよ……]

 (うーん……それなんだけどね……)

 [なんだよ。結局結果は出てないのか……まー、そうだろうな。後、俺の方でもわかったことはあるぞ]

 (えっ……、それって試験に関わること?)

 [んー、関わることって言えば、関わることもそうだし、他のこともな~]


 そんなやり取りを繰り返す二人ではあったが、周囲からみるとミツルは黙って考え事をしているようにしか見えない。


 「あのー……、ミツルさん……?」


 そんな言葉をいいながら、アンナは不安そうにミツルの目の前で心配そうに何度も手を振っている。

 

 「あー、ごめんね。アンナちゃん。さっきはごめんね。アールヴのことを任せちゃって……」

 「いえ、大丈夫です。アールヴ君、うちのルークと違ってしっかりしているから、全然大変じゃないですよ」


 しっかりしているというよりは、本来のアールヴのことを知ったら、さぞ驚くのだろうなと思いながら、ミツルはアールヴの方をちらりと見る。


 「それで、ヨハンさんには。試験の情報と言うよりは、徴用組織の詳細を聞いた訳なんだけど……」

 「はい……、それでどうでしょう……」

 「後は、試験の詳細をもう少し知りたいなってことなんだけど……」


 そんな話をしていると、ヨハンがミツル達に軽く会釈をした後、立ち上がり階段の方へ寄っていった。

 ミツルは一瞬、なぜ?と思ったようだが、階段の方から一人の男が降りてくるのを見つけたことで、宿屋だけに客の送り出しでもあるんだろうと目線をアンナの方に戻した。


 「はい。そうですね」

 「後、もう一人いるんだっけ?その人の方はどうなっているの?」

 「それに、ミツルおじさん。今日領主代行様のところへはいつ行くの?」


 一瞬、おじさんと言われたことにミツルの眉毛はピクッと反応を示すが……


 「あー、それね。確かにそれも重要だね。確かアンナちゃんが領主代行様のところへ案内してくれるんだっけ?」

 「はい、そうですね。もし宜しければ今から行きますか?それであれば、私急いで準備してきますけど……」

 「それじゃー、俺たちの方は一度部屋に戻って荷物とかとってこようか?」

 「分かりました。私の準備が整いましたらお部屋の方へ向かいますのでよろしくお願いします」


 というアンナの言葉と共に、とりあえずミツルとアールヴは部屋に戻ることにした。


★★★


 [なー、ミツル]

 (なに?)

 [いやー、お前、あのお願い受けるつもりだろ?]

 (んー、そういうアールヴの方は何?受けたくないってこと?)

 [受けたくないって言うかな……。多分、成功できないんだよ。俺たち二人だけだとな……]

 (そうなの?それって絶対?)

 [このままじゃ、そうなるな]

 (なんで?)

 [あのねーちゃんのお願いの内容っていうのは、簡単に言うと今ある小さい魔石を大きな魔石にして欲しいってことだよな?]

 (そうだね……)

 [先ずは魔石の説明からだな、まず魔石って言うのはモンスターの中に滞在しているマナって言うのを収集するための特別な石のことを言うんだけどよ…]

 (マナ?)

 [なんだよ。マナの説明からかよ……]


 明らかにめんどくさそうと言うような表情をしながら横を向くアールヴ。


 (しょうがないだろ……知らないものは……)


 [マナって言うのは簡単に言うと通常の変化とは別な変化をもたらす素のことだ]

 (なんか、変な薬の説明みたいだな……)

 [薬じゃねーけど、お前の中で理解しやすいのなら薬と言うことでもいいと思うけどな……とりあえず身近にあるものと言うことで、あの蛙のことを例にあげて説明すっかな。その方が分かりやすいだろう]

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