香水のかほり

舞季

#1

なんとなく感じていた。

たまに香る上着からの知らない香水の香り。

プレゼントでもらったようなブランド品。

あまりにも疑う要素がそろっている。

彼は、私の他に愛する人が居る。


「ねえ、好孝。」

「何。」

何も知らずスマフォを弄っている彼。

そのスマフォには誰が写っているの?

「最近香水変えた?」

「ああ、先輩のオススメやから仕方なくつけてるんよ。」

話ながらもスマフォから顔を上げない。

いつから顔を見ないで話す事が多くなったんだろう。

「あとさ、好きなブランド増えた?」

「別に。どうしたんや、いきなり色々。」

「いや、なんか不安になっちゃって。」

「何なん、そんな不安て・・・変な奴。」

笑いながら私を抱き寄せる。

「大丈夫。俺は杏子だけやで。」

それも他の女に言ってるの?


さっき電話の着信にあった私の友達にも。


その事を聞けばいいのに。私は弱い人間だ。


「愛してる。大好きやで。」

抱き寄せられた腕を離せず、私はゆっくり身を委ねた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る