ホラー冒頭博覧会

ホラー冒頭博覧会 感想

ホラー冒頭博覧会というイベントに参加しています。自作の感想もしれっと書いてます。さあど〜〜〜れだ!? 字数が多ければ好きというわけでもないです。

元々はホラーを全く読まない・書かない人なので、めちゃくちゃ勉強させていただきました。主催の南雲さんに大感謝👏

余談ですが、「冒頭ホラー博覧会」なのか「ホラー冒頭博覧会」なのかよく迷うのは自分だけでしょうか。漢字がまとまってる方が正しい!


感想のお礼は一切いりません!!! 好き放題書かせてくれて本当にありがとう!


【感想】

01.『私は見られている』

 語り口めっちゃいいですよね。すんごい好き。立板に水のような感じで滔々と語りが続くのが上手くて好みです。めちゃホラーっぽい。なんか絶妙な伏せ字感もホラーっぽくていいですよね。雰囲気が最高に好き。

 淡々としている分、ずっと不穏なんですよ。何も起こっていない時も、じわじわ怖い感じ。この雰囲気、どうやって出すんだろう……。難しいことを簡単そうにやってのけるレベルの高さ。すごいな。

 病院など頼れそうなところがガンガン潰れていくのもいい。引きも強い。演出がうますぎますね。演出に100億点。超怖かったです。


02.仄闇の仔

 大学の単位が絶望的なところだけ、超絶自分すぎて笑っちゃった(全然関係ないですねすみません)。いいシーンに怖いシーンを重ねるのが、まさにホラー的演出。冴えてますね。自分もこうすれば良かったなぁ。舜が明らかに信用できない人間なのが序盤で出てくるし、次に由唯も明らかに不幸な人間なので、これは登場人物を信用しちゃいけない話なんだなとわかる。神は細部に宿りますね。ていうか由唯の母親の描写があまりにもリアルすぎて泣きました。怖すぎる。追い詰められたが故の選択が、泥沼への第一歩っていう演出もマジでうまかったですね。


03.仮面

 一人称視点のうまさが光りますね。感情がそのまま文章に出てくるので、全部怖いんですよ。初っ端から全部怖いじゃん。怖がりなんですよ自分。平和そうなシーンからの奈落落ちもそうだし、友達が次々に消えていく演出も上手い。時系列を変えて、怖がらせてから日常パート(?)に入るから、日常パートも全部怖く思えてくる。考えましたね。

 旧交をあたためるだけあたためて、友達がどんどん脱落していく感じですよね。怖いよ〜! 温めちゃったから何気に登場人物に思い入れがありますしね。そういう演出がうまかったですね。


04.呪殺達成率100%の村

 悔しすぎる。こういうのを書きたかった。何これ〜〜!!! ギャグなのに死ぬほど怖いんですよ。まともな人が一人もいないってギャグとホラー同時に演出できるんですね。

 そこにありすを呪殺するっていう笑えない要素が入って、ここでバランスがホラーにグッと傾くんですよね。演出がうますぎるだろ。本気でありすを呪殺しようとしているから、やべー村(笑)で済まなくなるんですよね。本気で村をあげて、見知らぬ人を殺すのを手伝おうとしている狂った村になる。しかも、ところどころ出てくる、金のために魂売り渡しちゃったみたいな村っぽい演出。うわこれ業が深いぞ……。で、最後にここまで禁忌踏んだ顔しておいて、謝られたらスッキリしちゃったとか。覚悟が足りねぇキャラはホラーには大事でしたね。ほんっっと演出上手いな。泣きそう。

 これ設定勝ちじゃないですか??? 誰だよこれ書いたの。感想の量おかしくて作者バレしそうだけど知らね。だって書くしかないんだもん。


05.『たそかれ』よ、さようなら

 学校の夕方のチャイムから既に怖いっす。そこから怪しげな子供が出てくるわけじゃないですか。怖いよ。

「こっちに来てしまったんだね。あ、自ら運命の命の輪を取ったとは愚かだね。可哀想に可哀想に。もう君は元には戻れない、残念だね 」

 女の子、いい子ちゃんですね。言ってること怖いけど、忠告してあげるだけ優しい。全裸のマネキンとか、もう全ての演出がホラーだし怖いし。どうすればいいのか全く分からんですね。

「太陽を見ろ。今の時間は昼だ。分かれ 」

「世界の違和感に気づけ! 黄昏時に戻りなさい。そうすれば、元の世界には戻れる。君自身は元通りではないけど」

 結局怖いじゃねぇか!

 暗号(?)を使うと、読者にはわかるけど登場人物には分からないという演出が作れるからいいですね。あと、一人称視点なので、主人公がおかしくなっていく様子の怖さがめちゃくちゃ強調されて、マジで怖かったです。


06.美人で優しい生徒会長が神社の裏の杉の木でしているのは

 あらすじから、まあ序盤はハートフルなんだなと思ってたら序盤から死ぬほど怖かった!!! 怖ぇよ!! あらすじに騙されたよ! あらすじってこういう利用の仕方すればいいんですね。半端ねぇ。

 ありがちな人間関係から、エグ目の怖さを投げてくる。リアルな関係が発端な分、マジで怖いです。しかももう、生徒会長の歪んだいろんな価値観が全部ぽーーーーんと出てきてさ。震えますよね。人怖ってやつですね。たぶん。結末で目が合った時は飛び上がりましたね。エッグい引きを入れてくるぜ全くよぉ……。


07.怨み孕み

 ワンアイデアが強ぇよ。自分が何を産んだか分からないっていうのが、あまりにも怖い。子供ネタが被っているようですが、位置的にも強かったですね。この「まあ怪奇産んだら怖いっすよね(笑)」みたいな、当たり前のように怖さが突き抜けたネタをお出しされたら怖すぎて眠れません。『オギャア』が怖いんすよ。絶対人間の赤ちゃんのふりをした、人間じゃない何かじゃん。

 その赤ちゃんが人間のふりをしている、そうして受け入れられている、という演出。この発想は全くなかったです。怖すぎでしょ。落合さんは味方かなと思ったら、たぶん違うじゃないですか。善人も出てくるのに、善人が無能で頼れなさそうっていう演出もいいですね。悪人は少ないのに味方が全然いねぇ!!! これ慣れてる人が書いてるな絶対。


08.病める時も健やかなる時も、どう考えてもバッドエンドな時も!

 これもレベル高かった。本当に怖い。人怖ですね。おかしいことは何も起こっていないのに、人の反応が明らかにおかしいタイプ。確かにこの演出死ぬほど怖いよなぁ。常識が人と明らかに違う人、怖いですよね。リアルにいそうだから怖い。そんな実家行けねぇよ!! そんな実家と仲良くできるわけないだろ!! 比較的上手くやってる家が義理の実家になっても上手く行かないこと多いのにさ!! その叫びが必ず出るような演出になってますよね。うますぎる。一家揃ってまともな人間がいない。いや思ったよりはまともか?と思ったら落差がエグかった。

 近づいちゃいけないのに、近づかざるを得ない。この演出がガチでうまかったですね。上手い(咽び泣き)。


09.ずっと傍に……

 学校の怪談的な怖さ。今までに怖すぎる話を見てきたせいで、もう既に怖いですね。この作品は立地がいいな。幽霊が見えるが故に、幽霊と同居っていうのも、なんか背中が嫌な汗で湿りますね。教育実習生という、絶対怪しい存在をお出しするタイミングも強いし、それに対する明美さんの反応も不穏すぎて怖い。不穏は回収しない方が怖いですね!!! 勉強になります。たぶん担任の先生も信用できないじゃん? こっちは逆に信用できない登場人物が多すぎて怖いタイプですね。明美さんも信用できないよ。もう誰も信用できない。キャラの演出がマジで上手いです。


10.ふたりめのたね

 リアルな生活の描写から、ぐぐぐっとホラーに落とし込むのがうますぎる。ホラーの田舎って、それだけで信用できないですよね!!! 今まで気づいたこともなかったのに、ああこういうお約束が自分の中にもあるんだなぁと自覚しました。田舎の田舎たるダメなところの演出も上手い。

「私は生命工学を修士まで修めたの!」←これもうほんと、リアルにリアルが重なりすぎて泣きそうになる。それを最後に、主人公は理系だから怪異は信じません、に繋げるのは、一周回って怖い超えてエモさまで感じました。終始じわじわ怖い和ホラーでしたね。結局死ぬほど怖かったよ。


11.償われる前の罪

 序盤がギャグかと思ったら、死ぬほど怪しい家が出てきた!! ホラーって、もう豪邸ってだけで怪しいものなんですね。また無意識のお約束を自覚した気がします。序盤がギャグだからこそ、なんかそこで世界観を作って恐怖に落とし込んだ感じがしますね。

 映画なのか原作なのか分からないけど、改変したという禁忌を踏んだのはおそらく確からしい、というのが怖いですね。なるほど、禁忌を踏むと怖い。佐野夫人はヤバいけど、行動原理がたぶん娘のためじゃないですか。問題はもう一人の男なんだよ!! 何がしたいのか分からなくて怖い。なるほど、行動原理が分からないと怖い、覚えました……。

 あと、歌って信用できなくないですか??? 自分だけですか???


12.クローズド・オープンワールド

 逆に、都会は怖いパターンきました。都会が怖いは今のところ初では?? 都会が怖いは、都市伝説に絡めると怖い。学びました。怖ぇ〜〜〜!! 最近だと配信ものホラーが流行として来てるようなイメージですが、配信ものホラーって都会とも相性がいいんですね。

 引きがエグかった。分かってはいるんですよ、怖いって。自販機で飲み物買っちゃいけないよ死んじゃうよっていう禁忌を踏んだから死ぬって分かってるんですよ。

 なんでこんな怖いの!? うえ〜〜〜ん死ぬほど怖かったよ〜〜〜!!

 本当に怖いの一言。マジで怖い。怖すぎる。上手いし怖い。上手いから死ぬほど怖い。怖い。


13.次に誰かを殺すなら

 ごく普通の家族って、もはやホラーにおいてはそれだけで怖いですね。しかもこのパターンは、ご近所の噂がアレな感じのやつ。都会に田舎の悪いところ足しちゃったみたいなやつだ!!! 怖い!! うわめっちゃ怖い!! 人間関係が怖すぎる!! なるほど、嫌な人間が周囲に揃うって、めちゃくちゃ怖いですね。演出がマジで上手い。その中で普通の生活を送ろうとするのが健気じゃないですか。でもそれって、あの人間関係と相性がいいんですよね(当人たちに取っては悪いの一言ですが)。

 娘が消えた瞬間、意図が読めました。周囲が一ミリも信用できねぇ!!! 震えましたね。マジで怖いよ。演出がうますぎる。


14.この街には、魔女がいる

 都市伝説ものきた〜〜!! ストーカーはもはや怖くないですね(感覚の著しい麻痺)。くすくすが死ぬっっっほど怖い!!! 「よっしゃここでくすくす笑わせたら怖いやろなぁ」ってことですか? その通りですよ。死ぬほど怖いよ。文章が上手いから尚更怖いですね。魔女っていうのを見て、なんかファンタジックな印象があって、ファンタジックなら怖くないかもと思って油断しました。見たら死ぬんかい!! 噂もダメってのがいい設定ですね。だって話が出た瞬間、もうみんなヤバそうな雰囲気がもりもり出るじゃないですか。噂ダメはマジで設定勝ち。魔女はファンタジックな感じじゃなくて、都市伝説ものなんだから、そりゃやべぇ女を魔女と呼んでいるという面もあるんですよね。結局死ぬほど怖かった。うえ〜ん寝れないよ〜!


15.女王の薔薇は枯れない

 耽美だ!! もはやここまでホラーを読み続けると、耽美ってだけで怖いですね。歌詞って怖いんだな。今まで歌詞見て怖いって思ったことないんですが、耽美な世界観×ホラーだと深読みしちゃいますね。これすげぇ演出だよな。読者に深読みさせる怖さって、死ぬほど難しいと思います。技術力が高い。かと思えば現代のシーンに落ち着いて、でもやっぱり文章が耽美なんですよ。大人になって、夢が覚めたと思って安心していたらひっくり返される。この演出もたまんないですね。安心していたところをひっくり返されるのはすごく怖い。勉強になりました。だってこれ怖いもん。そこで、もしかして薔薇を散らせたのやばかったですか?ってなるじゃないですか。安易に過去にやった行為の報いを今受けるの死ぬっっっほど怖いです。この演出大好き。


16:異界へようこそ

 スペースの使い方がめちゃくちゃ上手かったですね。空行だけで怖いよ!! これは位置の良さもあるかもしれません。今、何が来ても怖いですからね。肝試しなんか怖いに決まってるじゃないですか。肝試しを舐めているキャラも、怖いに決まっているじゃないですか。登場人物も多い(ホラーって、いっぱい人が死ななきゃいけないから登場人物が多いんですよね)にもかかわらず、キャラが立っているのもいいですね。

 やっちゃいけないこと全部やってるから、何一つ信用できなくて怖い。何が来るかわかんないんですもん。全部信用できないっていう演出いいですね。ここまで怖いんだ!!!

「奴は四天王の中でも最弱ビビり……」←これ死ぬほど好きです笑



【総評】

 こういう演出があるのか! という学びが死ぬほど多かったです。こういう演出は確かに怖いんだけど、でも全く思いつかなかった。引き出しがめちゃくちゃ増えて、勉強になりました。

 どれも怖ぇよ!! レベルが高いですしね。怖さに振り切っているのに、ストーリーとしてのレベルも高いからなお怖い。片方だけじゃないんですね。両方合わさったらガチで怖い。

 出て良かった、読んで良かったイベントでした。これでホラーが書けるようになったぞ! まあ怖いの苦手なんですけど。

 あと意外だったのが、掲載位置が大事ってことですね。前半だとネタが斬新に見えるし、後半だと何が来ても怖い。これは意外でした。どこの位置にも、位置なりのメリットがある。これは普段の書き出し祭りとはまた違う点なのではないでしょうか。

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