◆第9章◆愛理から努へ~「幸せの形」の手紙~

偶然にも努の書きかけの手紙を見てしまった愛理。そこには結婚や出産で二人の今の関係が変わってしまうことの恐れ、その恐怖を克服した経緯が書かれていた。普段はあまり手紙を書かない愛理は、久しぶりに手紙を書いてみることにした。


ともりーな「愛理ちゃんもお手紙書くの?」

愛理「勝手に手紙読んじゃったから謝罪も込めてね(笑)」


努へ


手紙、勝手に読んじゃってごめんね。だって引き出しからちょっとはみ出してるんだもん。片づけスキルも上げようね(笑)。


でも、努の気持ちを知れてよかったです。「今の二人の関係性をずっと続けたい」と思ってくれたんだね。最初は「私とは結婚したくないんだ。私との子どもはほしくないんだ」って思っちゃってたよ。それで「もう別れる!些細な夢だったのに!」なんて家を飛び出しちゃったこともあったよね。ごめんね。心配かけたよね。


努、いつもありがとう。私から子どもがほしいと言ったのに、いざつわりが始まったら「自分の身体じゃないみたい。胃の中も頭もずっとぐるぐるかき回されている感じがする」なんて弱音を吐いちゃったし、「もう仕事のリスケをお願いするの疲れた。「ごめんなさい」と言うのももう限界」なんて、努が出かける前に引き止めちゃったこともあったよね。努が悪いわけじゃないのにね。「もっと頑張る!」と無理して笑っても、「愛理はもう頑張ってるよ~むしろ休むことを頑張らなきゃ!愛理は二人分生きてるから、2倍寝なきゃなのだよ」なんて言ってくれて。


私も努との関係が増えるの楽しみだよ。ちょっと教育観が合わなそうな心配はあるけどね。「俺は君主論を教えてやろう!」とか言い出すから(笑)。穏やかに生きようよ~♪


いつもありがとうね。ライブも行ってきていいよ。「身重の妻を置いて、あなたは、行くのね」とか言うけど、本気じゃないから安心してね(笑)。あ、その代わりラウンジのあるホテル行きたーい!


愛理「こんな感じかなー。久しぶりに手書きにしたから手が痛いわ(笑)」

ともりーな「手書きはあったかいねー♪私にも書いていいんだよ(*^^*)」

愛理「子ども産まれたら書かせるわ(笑)。あ、そうだ、思い出したことあったんだ。これも書いとこう」


努へ


書き忘れてたことありました!努が最近よく言う「これが幸せの形か~」っていうやつね。努はいつも大げさなんだけど(笑)。


努が結婚したり子どもを育てることにちょっと恐れがある理由に、「家庭のイメージがあまりない」もあると思うんだよね。努のお父さんは中小企業の社長だからよく働いて家にいなかったし、努も部活で家にいないことが多かったからね。「概念としての幸せは分かるし、音楽を聴いたり本を読んだりすると幸せって大事なものであることは分かるんだけど、具体的に何?と聞かれると、分かんないんだよね」とさらっと言ってた時はちょっと心配だったんだよ。


だからたくさん形にしていこうね。まぁ、努からすると「クリスマスにホールケーキを買って家族で囲む。これが幸せの形だ!」とかよく分かんない感動の仕方をしてたけどね(笑)。


でも、努は妙に考えすぎちゃったり、自分の感覚よりも論理を大切にしちゃうから、こういうシンプルな幸せの形もありだと思う。


だから、年末には紅白を見て、年始にはお餅を食べます。これが日本の幸せの形です(笑)。


愛理「はい、これでよしっと!」

ともりーな「努くん、幸せの形分からないとか言うの?」

愛理「うん、暗い曲聴きすぎてる影響だと思うけど(笑)。でも、私の幸せの形が近い気がするからそれは良かったかもね~」


※幸せの形をホールケーキで理解する努くん、おもしろいね(*´罒`*)でも、形で理解するのはありよね。特に努くんは頭で考えすぎてわからなくなっちゃうから。感性人間な愛理ちゃんに頼りなさーい(*´罒`*)


さて、いよいよ明日は最終回・・・お題は「さよなら、ともりーな」だなんて・・・さよならってどういうことなのよ~٩(๑˃̌ۿ˂̌๑)۶


それでも褒められて伸びる妖精ともりーなは、あなたのレビューやコメント、★をお待ちしています٩(ˊᗜˋ*)و

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