◆第3章-1◆うちの夫は本当に働いてる?~愛ある「すれ違い」の謎~

愛理にとってKISAKIは憧れの存在であった。切磋琢磨し合える夫も温かい家庭も持っているように見えた。しかし、実際のKISAKIは一人で家事も育児にも走り回り、夫婦の間の会話は少なかった。愛理はその冷えた夫婦関係は、自分と努の数年後の姿に思えてしまった。

「もしかして私たちも?」。そう疑ってしまう愛理は、もう気持ちを抑えきれなくなってしまった。それは、努の何気ないLINEによって引き起こされた。


ともりーな「初ワープ楽しかったねー(*´∪`)あれ、愛理ちゃんどうしたの?疲れちゃった(´・-・`)?」


 愛理は、げっそりとした顔で口をぽかんと開けていた。


ともりーな「元気なくなっちゃった(´・-・`)?」

愛理「もう無理、、、憧れのKISAKIさんの家庭ですらうまくいってないじゃない。旦那さんは家庭に無関心っぽいし、KISAKIさんは裏アカ作ったりして辛そうだし。目標を見失っちゃった…。それにね、KISAKIさんのお家、ちょっとうちの状態と似ているところがあるのよ」

ともりーな「ん、なあに?」


 愛理は、スカートのポケットからスマホを取り出して、KISAKIのサブアカウントの投稿を改めてのぞきこんだ。そして、ため息をついた。


愛理「うちもさ、KISAKIさんの旦那さんと同じで、努がお客さんとのアポが急に入ったとか言うことあるんだよね。本当は遊んでるんじゃないの?こんなに悩んでるの、私だけなんじゃない??」


 ともりーなは、愛理をギュッと抱きしめた。優しい甘い香りがする。嗅いだことのあるような、どこか懐かしい香りがした。


ともりーな「愛理ちゃん、もっと自分に優しくだよ、、、愛理ちゃんのお家は大丈夫だよ!」

愛理「そう思いたいけど…。ちょっと努のこと、一週間観察してみる」

ともりーな「分かった!お手伝いできることがあったらなんでも言ってね(*´∪`)」


 それから3日後、愛理にとって最も来てほしくないLINEがやってきた。それは退社後、買い出しに行き、1時間かけて夕飯を作って努の帰りを待っていた時のことだった。


努LINE「ごめん 今日遅くなるからご飯はいらない」

愛理「え、なんなの? 今何時だと思ってんのよ!」


 愛理は、夜9時を過ぎていることを確認したと同時に、おたまをガンっとまな板の上に叩きつけた。


ともりーな「愛理ちゃん、大丈夫?」


 ともりーなにそう言われると、愛理の瞳からボロボロと涙があふれてきた。


愛理「ねえ、これっておかしくない? ねえ?もう無理だよ」

ともりーな「愛理じゃん、どうしたの? なんで泣いているの?」


 愛理は、努がプロポーズをしてくれた時のことを思い出していた。


愛理「『努が好きなグラタン作って待ってるよ』って今朝言ったのに。。。それにあいつ、『共働き一緒に頑張ろう』て言ってたのに家事全然してないじゃん、、、やってるの私ばっかり。お風呂の髪の毛取りも、スーパーへの買い物も料理の準備も。料理は買い出しからゴミ捨てまでがセットなのよ。今朝のゴミ捨てだって努の番だったのに、私が捨てたし」

ともりーな「努くん、『ゴミ捨ては任せて!』って言ってなかったっけ?」

愛理「その日にやらないから、私が結局やることになるのよ! 本当はこんなの嫌なの」


 ともりーなは愛理をまたギュッと抱きしめた。


愛理「いつもありがとね。私、努がやるまでやらなくてもいいのかな」

ともりーな「愛理ちゃん、無理しなくていいんだよ。努くんが当番の時は、努くんがやるまで待っていたっていいんだよ」


 愛理は、目から大粒の涙をポロポロとこぼしている。不思議と懐かさのあるともりーなの香りに包まれていると、気持ちを抑えられなくなった。


愛理「でもね、いつも遅くまで頑張っている努にはきれいな部屋で朝を迎えてほしいから、自分がやらなきゃいけないって思っちゃって、ついやっちゃうの。別に褒めてほしいわけじゃない。ただ『ありがとう』とか一言もらえるだけでいいのに。感謝してくれるんだったら気持ちもすむの。でも努なー、最近ピリピリしてるんだよね。前も好きなバンドのツアーファイナルと仕事が被っちゃったし。ライブ行けてないだけなら良いんだけど。それに、私の話を聞く時、スマホを見ていることが多くなっているんだ。声がぜんぜん届いていない感じがするの。あ!」


愛理は突然、大きな声を挙げた。 ともりーなは飛び上がった。


ともりーな「愛理ちゃん、どうしたの!?びっくりした~!」

愛理「やっぱり、努は不倫しているんじゃないかな。今のこの感じ、キサキさんの裏アカで書かれていたことと似ているよ。旦那さんが帰ってこなくてってところがそっくり」

ともりーな「愛理ちゃん、笑ってー(´・-・`)じゃあ、努くんの働いてるとこを見てみるのはどう?愛理ちゃんのために頑張ってるんじゃないかな♪」

愛理「うん、見たい!もうはっきりさせようと思う。どうせ『男の生きがいは仕事』とか思ってるんでしょ」

ともりーな「努くんの生きがいは愛理ちゃんだよ(*´∪`)妖精の勘は鋭いんだから♪じゃー行くよ!ともりーな♪」


 前回と同じように愛理は妖精の姿になった。


妻「また急に行くのねー!でも二回目ともなると妖精の格好するのは慣れたわ。努には見せれないけど(笑)」


※とうとう泣いちゃった愛理ちゃん・・・努くんのバカ<(`^´)>でも、二人は一緒にいてほしいなぁ。だから!努くんがお仕事している様子を見に行くことにしました。今のところは努くん、真面目に働いているような。明日は努くんの仕事現場をがっつり見ちゃいます!


おもしろかったらぜひ★をくださいね(*´∪`)レビューは全部読ませていただいて、100%お返事いたします!

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