【完結済】共働きが楽になる「時間」の魔法

大西明美と佐野創太

◆第1章-1◆妖精「ともりーな」が出てきちゃう!?

「毎年プロポーズしてくれてもいいのよ♪」と努に告げるほど嬉しかったプロポーズから半年。愛理はその時の写真をインスタで眺めながらため息をついている。ふと目に入ってしまう共働き夫婦のデート写真を見ていると、まるでため息の色が黒くなっていく気持ちすらした。

そんなある日、偶然クリックしたアプリ「ともりーな」が妖精になって現れた。しかもどこかで会ったことが、ある?


愛理「なんで私ばっかり仕事も家事もがんばってるんだろ。休日デートも3週連続でドタキャンされてるし。結婚前は毎週できてたのになんでよ。私は毎日夕飯作ってるのに『飲み会入ったからいらない』とかいきなりLINEされるし。今日だってお昼からQUEENの映画見る約束だったのになぁ」


 インスタグラムとfacebookを交互に見ながら、愛理はぼやいていた。



愛理「えーなんでみんなこんなにキラキラしてるんだろ?やっぱ朝6時とかに起きて頑張ってたりして・・・何これ? こんな広告はじめて見た」

 

それは、ティンカー・ベルのような可愛い妖精のデザインとともに、妖精の名前がかかれた不思議なアプリの案内だった。


愛理「『ともりーな』とかうける(笑)。『あなたが見たいあの人の生活を見せてくれるアプリ』だって。怪しすぎるでしょ~(笑)」


 そう思いながらも愛理はアプリの広告をクリックした。


愛理「あーマイページ作る系ね。めんどいから後でいいや」


 スマホを置いて、愛理はある鉛筆を取った。同時に机の中から「家計簿と書かれている」1冊のノートを取り出した。


愛理「マイホームまでほど遠いなぁ。節約しているつもりなんだけどな。この鉛筆を努からもらった時には、まさかこんな私ばっかり家事してる生活が待っているなんて思いもしなかったな。仕事も応援してくれると思ったし」


 ため息をつき、鉛筆を見つめて心の中でつぶやいた。


愛理「この鉛筆は、私の会社の昇進試験があるからってプロポーズの時に努がくれたんだよね。『仕事もお互いあるし』って言ってくれてたんだけどな。あの時は共働きを一緒に頑張ってくれると思ったのに。あ~あ」


 努からもらった鉛筆をベッドにぽーんと放り投げた。コツンと何かに当たった音がしたが、愛理のため息がその音をかき消して、愛理はまったく気が付かなかった。


愛理「さーて、暇だから部屋の掃除でもするかー。ワンオペに慣れておくぞっと」


 ソファーから立ち上がると、ベッドの方から声がした。


??「ちょっとー!いじめないでよー!」


 甲高い声がして振り返ると、そこには20センチほどの女の子が頭をさすっていた。背中からはピンク色の羽が生えていて、小さな杖を持っている。


愛理「何これ?ぬいぐるみなんて買ったっけ? あ、でもどこかで見たことあるかも」

ともりーな「ぬいぐるみじゃないよー(´・-・`)ともりーなだよ♪」


愛理「すごっ!こっちの声で返事が変わるのかしら。AIの発達かな」

ともりーな「えーあいってなーに?」

愛理「まさか『AI』にまで反応できるとは(笑)。それにしてもこれリアルねー」

ともりーな「これじゃないよ、妖精だよ!愛理ちゃんがクリックしてくれたから出てきたんだよ♪」

愛理「ん、クリック? あ、そうだ! あなたアプリの広告の中にいたよね。それで見たことがあったんだ」

ともりーな「そうそう♪ 見たい人の生活を見せてあげる妖精だよ」

愛理「うそでしょ、この世の中に妖精なんているわけないじゃん(笑)。VRか何かでしょ?」


 愛理は、指先をのばし、ともりーなに触れた。


愛理「え、待って。なにこれ」

ともりーな「ちょっと!勝手にお気に入りの洋服に触らないでよねー」

愛理「これ触れるの?映像かと思ってた」

ともりーな「映像じゃないよ。本当の妖精だってばー٩(ˊᗜˋ*)و」

愛理「えー、うそ…。妖精がいるのもびっくりだけど、触れちゃうのも驚きだわ」


 愛理は、目をまんまるにさせてともりーなを見つめた。


「ともりーな」と名乗る妖精は愛理になぜか馴れ馴れしく話しかけてくる。一体何者なのだろうか・・・


※明日は「◆第1章-2◆私、ともりーな!一緒にあの人の生活を見ない?(*´∪`)」をアップ予定です!お楽しみに~♪


おもしろかったらぜひ★をくださいね(*´∪`)レビューは全部読ませていただいて、100%お返事いたします!

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