短編集

すもも

君の名前が知りたい

不思議な話だと思いませんか。


僕が僕であることは偶然なのに必然なのに。

君が君であることは偶然なのに必然じゃない。

「たまたま」

それだけの話なのに君と僕じゃこの世界に居る意味が違うのはなぜなんだい。

身分?性別?お金?

そんなもの一つで人を人として見なくてよくなるのならばどんな手を使っても君が君であることをただの偶然じゃない必然にして見せよう。


足掻いてもがいて、どんな目で見られようとも君のためにできることがあるのなら。僕はいつか、君が君であることを必然に出来たなら僕は君に聞きたいんだ。君の名前を。名乗ることが禁じられた君の名前を教えて欲しいんだ。


だから、君が言った通りにするから。

お金だって何だってくれてやる。だから、君を名前で呼ばせてくれよ。

なぁ?













「とても残酷で可哀想な奴隷に惚れてしまった馬鹿でいじめられっこで裕福な男の子の話」


「馬鹿で金持ちな男を可哀想な奴隷のフリをして金を巻き上げようとする詐欺師の話」

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