第4話 最初の戦闘

アトレイユにとって最初の任務である。

村の芋畑が何者かに荒らされたという一報の下、アトレイユ率いる魔王討伐隊が派遣されたのだ。


率いる?

そう言えば隊員はアトレイユ一人である。

家族も友達もいない裸の勇者アトレイユ。


魔王討伐隊という大層な名の部隊だが、隊員は約一名。通称ワンオペ部隊。人手不足である。

王もその辺りの事情は判ってるようで無謀な任務もまだかさない。


「おい、兄ちゃん、俺は傭兵カイン。腕はたつ。味方してやる。100ゴールド寄越せ」

「わかった。頼むぞ、カイン」


100ゴールドも持っていないが、二つ返事のアトレイユ。


そんなことより、噂の何者かが現れた。山賊のようだ。芋畑を荒らす山賊。

「山賊か、強敵だぞ、アトレイユ」

傭兵カインは怖じ気づく。

相性というやつだ。傭兵は攻撃力のある相手に弱い。逃げ惑う女子供には滅法強い。


「どうする、アトレイユ?」

「まずは山賊供が入る前にあの家に押し入ろう。家を占領していると戦闘が有利になる」

アトレイユは屑だった

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