第4話

 私は精霊に持ち上げられて落とし穴から出ました。

 精霊も興が乗ったのか、土を竜の姿を似せたので、私は竜の頭に乗っているような形に成りました。

 ですが私と竜像を見て悲鳴を上げている訳ではなかったです。

 精霊が悪戯をしていたのです。


 精霊は悪戯好きな所もあります。

 普段は私が悪質な悪戯を止めているのですが、私を傷つけようとした者達になら、少々悪質な悪戯しても大丈夫と考えたようです。

 土が手の形に変化して、王太子と取り巻きの足を掴んでいます。

 これは恐ろしいでしょうね。


 何だか臭いです!

 恐怖のあまり脱糞してしまったようです。

 悲鳴を上げて土の手から逃げ回る王太子や取り巻きの股間が、ぐっしょりと濡れています。

 失禁もしてしまっています。


「精霊様が御怒りですよ。

 これで私が大地の乙女だと理解していただきましたか?

 ちゃんと謝って頂かないと、精霊様の怒りは収まりませんよ。

 王太子殿下!」


 王太子には、ちゃんと謝って頂きましょう。

 いい機会です。

 私の代で大地の乙女と王家の上下関係を正しておかないと、次代の大地の乙女が嫌な思いをする事になります。


「余ではない。

 この者共が上奏したから、仕方なくやったのだ!

 余の責任でない事を、謝る事などできん!

 だからやめさせろ!」


「何を無責任な事を言っている!

 さっきお前がその口で言ったであろう!

 偉そうに王太子風吹かしたのなら、責任とって謝れ!」


 クロエが全身を怒りで震わせながら王太子を罵っています。

 正義感が強いから、卑怯な王太子が許せないのでしょうね。

 ですが剣に手をかけているのはいけません。

 不敬罪どころか、反逆罪をでっちあげられてしまします。

 それに万が一殺していまうと問題です。


 せっかく馬鹿が次世代の王なのですから、徹底的に恐怖を与えて、絶対に大地の乙女に逆らわないようにした方が得策です。

 第二王子が後継者になって、下手に神殿との融和を図られたりしたら、今神殿にいる王家派を追放できなくなってしまいます。


「クロエ、殺しちゃ駄目ですよ。

 ちゃんと謝らせないと、王家との関係を正せないのですよ」


「は、申し訳ありません」


 クロエが一瞬直立不動になって我に返ってくれました。


「殿下、助けてください」

「殿下、謝ってください。

 御願いします」


 王太子の側近達が恐怖で泣き喚いています。


「馬鹿を申すな!

 余が大地の乙女ごときに謝れるか!

 謝りたいのならお前らが謝れ。

 余は絶対に謝らんぞ!」


 あら、あら、なんて強情なんでしょう。

 この程度では反省する気にならないのですね。

 では仕方ありません。

 私がやられたのと同じ事を、キッチリとやりかえさせていただきます。

 

 ですが私がやらせたと思われては迷惑ですね。

 この場では逃がして差し上げましょう。

 どこでどうやって仕返しするかは、精霊に任せましょう。

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