第13話

夏季学校3日目。もう残り2日になってしまい、みんなはますます盛り上がっている。今日は散策と博物館見学だ。もちろん行動班で。

りょうたとは、保健室でのあれ以来会っていない。というか話していない。ご飯は生活班の決まっているし、登山はりょうたは休みだったからだ。

バスの中、私は緊張していたけど、何事もなく当たり障りのない話題でやり過ごせた。

「真里は登山楽しかったか?」

「うん。結構最後の方大変だったけど、みんなでワイワイ登ってたよ」

「そうか。残念だったなー」

こんな感じ。

ハイキングでも私はいずと居たから、なんともなく終わった。

事件は、、、夜ご飯から、就寝までに起こった。りょうたが、歩いていた私に話しかけてきたのだ。

「真里」

私は振り返ってりょうたを見て驚いた。

「っ、、どうしたの?」

「真里元気ないなと思って。なんかあった?」

元気無いように思えるんだったら、きっとりょうたのせいだよ。少し責任転嫁みたいな言い方になるけど、実際そうだ。でも

「、、、何もないよ?」

私は、そう言って微笑むしか出来なかった。

「なんでもないなら良いけど」

りょうたは心配そうにしてくれる。嘘をついて少し居心地が悪いので、早く部屋に帰りたい。

「うん、心配してくれてありがとう。りょうたは優しいね」

私はそう言って立ち去ることにした。

「そうか?、、、だとしたらお前だけだ」

私はドキッとして立ち止まった。『お前は俺のことしか考えられないようになれば良い』その言葉を思い出したから。あまりの変わりぶりに、ちょっと驚いた。最初は肉食でもときめいたけど、今はなんとなく怖い。真意がつかめないりょうたの行動に、振り回されてしまう私。

「なぁ、、、」

りょうたの声が近づいてくる。私は振り向いた。そこには、とてつもなく甘い顔をしたりょうたがいた。私はドキドキして動けなくなる。

すると突然、唇に温かいものが当たった気がした。

りょうたが私にキスした、、、そうわかるのに数秒かかった。

りょうたは、私をぼうっと見ている。

、、、今のは、どう言う意味??私はそう聞きたかった。なんでキスしたの??どうして??私は頭の中が真っ白になる。夢のキスなのに、なんだか味気ない感じがした。

「ごめん」

りょうたはそれだけ言い、立ち去って行った。取り残された私は、しばらく立ち尽くしてしまった。

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