第7話

その日の放課後。真里が掃除を終えて帰ろうとすると誰かに腕を掴まれた。振り返ると、同じクラスの永見翔太郎くんがいた。私はあんまり仲良くなくて、話したことも数回しか無いはずだ。なんの用かな?考えながら話しかける。

「なに?永見くん。」

「真里ちゃん、ここじゃなんだからちょっと移動しようか」

手を絡ませられて、そのまま連れてかれる。恋人繋ぎの状態だ。なんの意味もなくても恥ずかしくて顔が熱くなる。

連れていかれた先は、空き教室だった。

「真里ちゃん、なんで約束を破ったの?」

真里は約束をした覚えがなかった。

「永見くんと、私なんか約束したっけ?」

すると永見くんが怒った顔になる。

「一緒の班になろうって、僕言ったよな?」

真里は、そういえばそんなことを言われたのだったと思い出す。でも、、、。

「たしかに言われたけど、私考えとくって言っただけだよね?」

正論のはずだが、永見くんはますます怒ってしまったみたいだ。

「それだよ。考えとくって、もう良いって言ってるようなもんだろ?それで良いって言ってないって言うのはずるいよ?」

永見くんが怖い。繋いでいる手に力が込められていて、離せない。

「え、でも、、、」

「ドンッ!」

真里が反論しようとすると、永見くんに壁に押し付けられた。永見くんの腕が真里の顔の横に来ていて、密着度が高い。真里は嫌だと思い、顔をしかめてしまった。それが、永見くんをほんとに怒らせたようだ。

「そんな事で良いと思ってるの?ねぇ、真里ちゃんは僕よりアイツのことが好きなの?!」

アイツが、りょうただと言うことはわかった。顔が赤くなる。

「そんな、顔するんだ?アイツのこと考えて!!」

永見くんが凄く怖くなった。真里は、何も言えない。

「もういい。真里ちゃんが僕を選んでくれないなら、、、」

諦める?そうだといいな。真里は、永見くんが嫌になってきていた。

「僕が、真里ちゃんが僕を忘れないように全部してあげる」

、、、?!よく分からなかったが、危険だと言うのは永見くんの声や表情で分かった。

「ダメ、だよ?」

落ち着いて欲しいと思い、声をかける。が、逆効果だったみたいだ。

両腕がとられて壁に押し付けられ、永見くんが顔を近づけてくる。真里はキスされるのだとわかった。ほんとに嫌で、頑張って逃げようとするが逃げられない。

2人の距離がゼロになり、、。永見くんは、真里にキスしていた。初めてのキス、、、こんな人と。思わず泣いてしまう。その時。

「おい。なにしてんだ、、、?」

入り口の方に、見慣れた人影が現れた。

「りょうた、、、?」

りょうただった。永見くんは、チッと舌打ちし、逃げようとする。真里は、解放された腕で自分を抱きしめる。自分でも情けないくらい震えていた。りょうたは、永見くんを捕まえて耳元で何か囁いた後ばっと腕を放した。永見くんはたたたっと走り去っていった。

「大丈夫か、、、?」

りょうたが近づいてきて、真里は涙を拭こうとする。りょうたはちょっと怖くて、でも表情が穏やかで、走ったのか軽く息切れをしていた。

「う、うん、、、ありがとう、、、」

安堵で涙が頬を伝う。

「なにされた?」

キス、とは言えなかった。

真里は、頑張って唇をゴシゴシとハンカチで拭くので精一杯だった。

「泣いてたよな?助けて良かったか?もしかして、オレに邪魔されて泣いてるのか?」

りょうたに言われた内容が悲しくて、精一杯否定する。

「ううん!全然違うよ、いやだった、、、助けてくれてありがとう。安心して、泣いてるんだよ、、、」

「そっか。よかった。ちゃんと抵抗したのか?」

ふふ、なんかお兄ちゃんみたい。私はお兄ちゃんいないけど、いたならりょうたみたいに優しい人がいいな。

「うん、でも力が強くて、、、」

「これからは、のこのこ人がいない場所に行ったらダメだぞ?」

「うん。よくわかった。気をつける。」

りょうたが心配してくれるのが嬉しくて、安心する。

「あのさ、、、」

りょうたがそう言いながら近づいてくる。なんだろう?そう思っていると。

がばっ

りょうたに、抱きしめられていた。

「え、、、なに?どうしたの??」

「さっきからオレが来てめっちゃ安心した顔してるけど、オレだって男なんだけど?もう少し、警戒とかなんかないの?」

りょうただもん、警戒する必要、ないでしょ?今だって、りょうたの声と顔と体温がすぐ近くにあってほんとにドキドキしてるんだよ、、、?あーほんっとに、私りょうたのこと好きだ。

「オレが、永見と同じことしようとするのかも知れないんだぞ?それでも良いのか?」

りょうたは、まずそんな事してくれないでしょ?ね?私がして欲しくても、りょうたは迷惑でしょ??私が黙っていると。りょうたは、イライラしたみたい。

「いいのか?このまま答えないなら、、、」

りょうたの言葉がそこで途切れた。どうしたんだろう??私がそう思った直後、りょうたは私を引き離した。

「こんなことしても意味ねぇって分かってんのに、、、」

ん??え??いきなりどうしたの?何言ってるの?意味?なんの話??

「ごめんな、、、真里。えっと、これは、、、、、またな!!」

りょうたは去って行ってしまった。どうせ同じ方向だし一緒に帰りたかったけど、なんだか気まずい空気だったので何もせずに見送るしかできなかった。

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