2063/05/17Sat.(3)
テーブルや椅子等、店内のインテリアは全て木製だった。ウッド調に統一されているせいか、どこか暖かみのある落ち着いた雰囲気の店内。最近のカフェには珍しく、ロボットではなく、人間の店員が接客していた。
陸達が案内されたのは通り側の席だった。陸の左手側は大きなガラス張りの折戸になっており、先ほど歩いてきた大通りと公園を見渡すことができた。帽子を脱ぎ隣の椅子に置いて、店員が引いた椅子に腰掛ける咲良。先に座っていた陸はその様子をまじまじと見ていた。ずっと帽子を被っていたので、咲良の顔を初めて見たような気がした。写真と寸分違わぬその可愛らしい顔立ちに思わず見惚れていた陸だったが、
「やっぱり、目の色は青の方が似合ってるのに」
と心の中で呟く。よく見ると瞳の色だけは写真と異なり、日本人に典型的な茶色であった。しかし、ファッションに疎い陸であっても流石にアイリス・ブリーチは知っていたため、それほど気に留めている様子はなかった。店員は咲良が席に着いたことを確認すると、
「ご注文はお決まりでしょうか?」
と間髪入れずに聞いてきた。お客に忙しいサラリーマンが多いためか、着席と同時に注文を聞くのが慣例になっているようだった。陸がメニューに手を伸ばそうとした時、
「じゃー私はパンケーキセット一つお願いします、陸くんはどうする?」
咲良は前もってメニューを決めていたいかのように、一切悩むことなく注文した。咲良の素早い注文に焦りの色を隠せない陸。数秒間の沈黙の後、
「あ、うーん、えーっと、カレーってあります?」
とりあえず頭に一番に思い浮かんだカレーをあげた。
「アハハ、陸くんって本当にカレー好きなんだねー実はね、ここカレーが名物なんだよね」
咲良はそう言うと、店員の方を向いて、
「すいません、やっぱり私もカレーにします。サンセットカレー、二つお願いします」
としたり顔でカレーを注文した。
「あー焦った。言ってくれればいいのに、ぷぷっ」
陸は久々に人前で笑ったような気がした。
「ふふふ、ドッキリ大成功!!」
咲良は子どものような無邪気な笑顔で言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます