俺の誕生日と夏祭り

8月1日。この日は俺の16歳になった。俺は朝から両親や花姉や玲から『誕生日おめでとう!』という歓声をあげられた。そして俺は桃香とまなかからも誕生日プレゼントを貰った。桃香からは俺が好きなアニメのスマホカバーを、まなかからは少し前に発売されたゲームソフトを貰った。




◇ ◇ ◇




それから数日後、地元で夏祭りが開かれた。この夏祭りは毎年やっており、小学校の時はかき氷食ったり盆踊りに参加したりして楽しんでいたが、中学生になると行く機会がなくなっていた。




夕方、まなかが部活から帰宅。まなかはそのまま俺の家に入り、先に俺の家に上がり込んだ桃香や花姉・玲とともに浴衣に着替えた。




「樹、私が自身を持ってセットした浴衣美女3人をじっくり見なさいよ」


「樹くん、どう?似合ってる・・・?」


「・・・樹のために新しく買ったんだけど、似合ってる?」


「お兄ちゃん、どうせ桃香さんしか見ないでしょ。まなかさんがかわいそうだよ!」




俺が玄関で待っていると、浴衣美女4人が俺の目の前にやってきた。揃いに揃って美人だ。・・・しかし、玲の発言は図星である。




という感じで、俺たち5人は10分ほど歩いて会場である母校の小学校に到着。夕方6時を回ったばかりだが、すでにステージでは盆踊りが開催されており、もう人が結構集まっている。


結局俺たちはしばらくの間、屋台でゲームを楽しんだり、色々買い食いしたりして楽しんだ。




そして午後8時。この夏祭りのメインイベントであるビンゴ大会が始まる。ビンゴを揃えた時に貰える賞品は早い者勝ち。残っている物の中から好きな物が貰えるのだ。


開始から10分も経たないうちに、玲が真っ先にビンゴを揃えて、一番の目玉賞品である最新の4K・8K対応テレビをゲットした。続いて花姉もビンゴを揃える。花姉は今話題のゲームソフトをゲットした。


一方、残る俺・桃香・まなかはなかなかビンゴを揃えることができなかった。




◇ ◇ ◇




結局、俺たち3人はビンゴカードを揃えることができず、参加賞であるポケットティッシュだけ貰ってビンゴ大会は終了。そのまま夏祭りも幕を下ろした。




「樹、桃香、私たち最後まで揃えられなかったね・・・」


「そうだな・・・」


「うん・・・」




豪華賞品をゲットした花姉と玲とは対照的に、俺・桃香・まなかはビンゴカードを揃えることができず、俺たち3人は帰り道で少し落ち込んでいた。




「ところで樹くん、花さんと玲ちゃんは?」


「そういえば、さっきから見ないなぁ」


「ああ、友達と帰るって言ってた」




3人でこう話しているうちに、自宅マンションに到着。3人それぞれの家に帰った。そして数分後、




「樹、また入るよ」




まなかが俺の家に入り込んだ。




「なんでまなかがまた俺の家に入り込むんだよ」


「私、部活の荷物ここに置いていたから」


「あー、そうか」


「花さんや玲ちゃんが戻ってくる前には出るから」




まなかは荷物を取り出すと、俺の家から出ようと・・・したのだが、その前に俺に向かってこう言ってきた。




「私、絶対に諦めない。絶対樹を口説き落としてやるんだから」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る