第151話 カスミの目的は何……?

「ムフフ。ミーと手を組みますか? 組みマスヨネ! ネッ!?」


 心底楽しそうに、カスミは笑う。

 姿勢を低くして、少女の顔を覗き込むように見る。

 少女の困惑気味な顔を見て、さらに笑みを深める。


「ンフフフ。やっぱりイイデスネ〜♪」

「……お前、あいつの味方じゃないのか?」


 少女が知りたいのはそこだった。

 少女は結衣のことを嫌っているが、カスミは結衣のことを好いているのでは……?

 そう思った少女は、なぜカスミが自分に協力するなんて言ったのか分からない。


「ん〜、ミーが結衣サンの味方? ――有り得まセンネ」

「――はぁ?」

「だって、で味方になるわけないじゃないデスカ」


 ――ああ、そういう事か。

 カスミは、結衣の味方になったフリをしているだけらしい。


 それなら話は簡単だ。

 何せ――赤毛の少女は、そういうのが大嫌いなのだから。


「……そうか、お前の気持ちはよーく分かった」

「お〜! サンキューデス! やっとその気になってくれまシタカ」


 少女が小さく呟くと、カスミはそれを耳ざとく拾った。

 カスミは少女が承諾したと思ったのだろう。

 すごく嬉しそうに微笑んでいる。


「デハ、さっそく作戦会議を――」

「わりぃ、俺――お前と一緒につるむ気はねぇ」

「……はい?」


 有頂天だったカスミのテンションが、少女の一言で奈落の底まで急降下した。

 カスミは、何を言っているのか分からないという顔をする。


「な、なんで……ミーとユーは、同じ――」

「いや、同じじゃねぇよ。それに、もし同じだったとしても――フリとかする卑怯なやつと一緒にいたくねぇ」


 威圧感のある鋭い目を向け、少女はカスミを突き放す。

 カスミは予想だにしない少女の態度に、驚いた顔のままフリーズする。


 少女はそんなカスミを一人置いて、空へ舞う。

 ――結衣をどうしてやろうか。

 空を泳ぎながら、少女はそのことだけを考えていた。

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