第44話 二人の話

「っはー! 美味しかった……」

「……うん。とても美味しかった。あ、ありがとうございます」


 結衣たちはシチューを食べ終え、緋依は結衣のお母さんにお礼を言った。


「いえいえ。お口に合ったのなら良かったわ」


 結衣のお母さんはニッコリと笑い、後片付けをしに、キッチンへと溶け込んでいった。


 そのあと、結衣たちは順番にお風呂に入る。

 お風呂が終わると、二人は結衣の部屋で談笑していた。


「えっ!? お風呂でガーネットと出会ったんですか??」

「そうそう。あの時はびっくりしたよ。まさか本が魔法のステッキになるとは……」


 あの時。

 結衣がガーネットと初めて出会った日を、結衣は懐かしむように言う。


「うっふふ。私をちゃーんと扱える人だと思って結衣様に近づいたのですが、まさかこんなにも魔法の扱いが上手いとは思いませんでしたよぉ〜」


 うっとりとした声色で語るガーネットに、結衣は思わず笑みが零れる。

 その時、対峙するように座っていた緋依が机に身を乗り出して、


「ねぇ、もっと二人の話聞かせてください!」


 と爛々と目を輝かせて、結衣に迫ってくる。

 結衣は少し驚いたが、


「うん、もちろん!」


 そう言って、夜が更けるまで話は続いた。

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