第40話 天使の本当の目的
「うっ……ああああああああ!!」
色々耐えられなくなったのか、天使は掲げた手を結衣の方に向けて光を放つ。
結衣は待ってましたとばかりに身構える。
だが――
「へ……?」
天使が間抜けた声を出す。
それは何故かというと、結衣の前に放たれた光が、突然消失したからだ。
「はあぁ……やっと終わったぁ……って、何間抜け面してるの?」
「へ……え? 何? 何が起こって――」
天使は酷く困惑している様子。
それが周りにも伝わってくるほどの混乱状態にある。
見てて少し可哀想になってきたため、結衣は一応説明する。
「誰とは言えないけど力をもらったの。私が想像することで……違うな。想像するだけで、願うだけでそれが自分の力になる力を」
その言葉に天使は目を剥き、とても信じられないと言う顔をしている天使に。
結衣は苦笑して、続ける。
「――私が怒りに呑まれて我を忘れたんだと思ってたでしょ?」
そうだ、と肯定するように天使はコクリと頷く。
それを見て、まあ当然か……と、結衣は蚊帳の外にいたガーネットを見つけて言う。
「“唯一の武器”であるガーネットを放り投げたんだもんね。無理もないか」
「……私すら、利用して欺いたと――?」
結衣が移動しながら放った言葉に、ガーネットが反応する。
結衣はペロッと舌を出し、「ごめんね」と冗談っぽく笑う。
そして――ネタバレをする。
「まあ、あの声は半信半疑だったけど……ただ願うだけで自分まで欺けるんだから、ほんとすごいよ」
その結衣の言葉に、天使とガーネットは驚いた様子で呆然としている。
「えっ……??」
「ど、どういう意味ですか!?」
天使とガーネットは、それぞれ疑問を口にした。
その様子に、結衣はキョトンと目を丸くする。
「え? まさか――気付いてなかったの……?」
結衣は困惑気味にそう言い、「気付いてるもんだと思ってた……」と呟いた。
「ま、まあいいや」
ゴホン、と咳払い一つ。
そして、さらに二人を混乱に巻き入れることを言い放つ。
「私、気づいちゃった。あなたの本当の目的」
そう言って、結衣は天使を見ると。
気付いてくれたの? とでも言いたげに、安堵の表情を浮かべていた――ように見えた。
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