第12話 ポツリと零した声

 ……と、ここで話が脱線していることに気が付く。


「ね、ねぇ! 魔法の扱い方について教えてくれるんじゃ――」

「結衣っ……! ここに、居た……の?」

「ん? え? ま、真菜ちゃん!?」


 突如かけられた声にびっくりして、結衣は思わず声が裏返ってしまう。

 さっきまで結衣とガーネット以外誰もいなかったし、気配すら感じなかった。

 なのに――真菜は自然とそこに立っている。


「えっと……なんか、驚かせて……ごめん、ね……?」


 不安そうに揺れる瞳を前に、結衣はたじろがずにはいられなかった。


「いや、別に……大丈夫だけど……どうしてここに? っていうか、なんで私の居場所が分かったの??」

「あ、私の家が……ここの、近く……で……喋り声が聴こえた……から、ここに来た……って、感じ……かな……」

「へぇー、そうなんだ! 自然がいっぱいの所の近くってなんかいいよね。落ち着くっていうか……」


 結衣の家も他の人と比べれば自然がある所だとは思う。

 だが、辺り一面木々――みたいな所ではないので、結衣は少し羨ましいと感じている。


 すると、突然ガーネットが語り出した。


「うっふっふ。私の家もわりと自然が多い所でしたよぉ? 海が近くていつも潮風を浴びていましたぁ!」

「えっ! すごっ! もっと聞かせて!」

「いいですよぉ?」


 結衣は海が好きだ。

 なので、思わずガーネットの話に食い付いてしまい、真菜を蚊帳の外に追いやってしまった。


 そんな結衣たちをよそに、真菜は不安そうに瞳を細め、青い空を見上げる。

 そしてポツリと――


「また……私は、一人に……される……の、か……」


 誰にも聴こえないように、独り言を零した。

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