第10話:神
さて、
しかし、そんな
「くっ! 急に脳内に流れ込むデータ量が倍増しましたよっ! これはもしかして、ゴールデンタイムの突入ですか!?」
するとだ。今まで身に襲いかかっていた不快感はどこかに吹き飛び、まるで春を告げる暖かく爽やかな風が自分の身体を通り抜けていく感覚に変わったのだ。
「郷に入れば郷に従えってやつですかね? うーーーん、受け入れてしまえば、存外、気分が良いものです」
もちろん、サーバー負荷が過剰になってないかのモニタリングも欠かしていない。不正プレイヤーの大量排除が効いたのか、今のところ、何か特別な問題が起きそうもなかったのであった。
「やれやれ……。結局のところ、海外からの不正アクセスが常時、ノブレスオブリージュ・オンラインのサーバーの負荷になっていて、それが新バトルゾーン追加がきっかけで、器から水がこぼれたっていう、ありがちな結果になっていただけですか……」
――私の声が聞こえますか?
「んん!? 今、誰か、僕に何か言いました!?」
――私の声が聞こえますか? 聞こえているなら返事をしてください……
今度ははっきりとした女性の声が
――ああ、よかった……。やはり私は神に選ばれた存在だったのですね。皆が私は気が触れた可哀想な女性だと言うばかりで心配していました……。
その声質から、鈍感な
「あなたは誰なのですか? こちらは自分の名をあなたに告げるには
――神ご自身がその御名を名乗らないのは当然だと理解しています……。申し遅れました。私の名前はジャンヌ=ダルク。あなたに『フランスを救え』と命じられた者です。
「ジャンヌ=ダルク!? そんな……、まさかでしょ!?」
――神よ。私に再び命じてください。私に勇気を与えてください。私の戦いが勝利に終わることを約束してください。
ジャンヌ=ダルクと名乗る女性の声がそう懇願するように
「あの、その、なんというます……か。って、うわあああ!?」
「いったたた……。これがゲーム内じゃなかったら、僕、確実に死んでましたよね!?」
「貴様、何奴だっ! ここが会合場所だと知ったイングランド軍の斥候かっ!」
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