第8話:不正プレイヤー
「これは……。ゴミデータが原因と考えるのは早計かもしれませんね。もっと上位の階層にアクセスしたほうが良さそうです……。えっと、左足に力を入れてっと」
「う~ん。微調整が難しいですね……。いつもならPCのディスプレイとキーボード、それとマウスでやっていることです。さらには実際にゲーム内にログインしてやるのは稀ですし……。まあ、文句を言っても仕方ありません。さってと……」
しかしながら、あくまでも根城であり、新規ダンジョンやバトルゾーンが追加されれば、その近くにある大きな街にプレイヤーは民族大移動が如くに活動場所を変えることはある。しかし、ダンジョンやバトルゾーンも旬が過ぎれば、結局のところ、元の根城に帰ってくるのが世の常とも言えた。
「うーーーん。メモリーがパンクしそうな原因と言えば、ゴミデータなんでしょうけど……。その一番の原因となりそうな『バザー』や『
この3つの要因から導きだせることは明確であった。
「ちっ……。大陸系のプレイヤーが日本国外部からアクセスして、さらには不正ツールを使っている可能性が高いってことですね。臨時メンテが終了したばかりだというのに、メモリリークが起きそうになるなんて、これ以外、考えられませんよっ!」
「なるほど、なるほど……。旧ダンジョン群で、ドロップアイテム目当てに放置マクロを使っているわけですか……。そりゃそうですよね。比較的に新しいダンジョンでそれをやれば、こちら側も馬鹿ではありませんから、すぐに異常に気付きますし。多数の小グループに分かれて、荒稼ぎをしているわけですか……」
放置マクロとはパソコンやゲーム機の前にいなくても、とあるソフトウェアを用い、自動でキャラクターを操作させて、プレイヤーが何もしなくても勝手にアイテムなどをかき集めてくれるシステムを指して言われる言葉だ。
ノブレスオブリージュ・オンラインへ割り当てられる予算が減らされるということは、同時にそこで働く人員も減らされることとなる。予算がたっぷり割り当てられていた前々任のGMナベシマの時代では、その放置マクロを使用するプレイヤーたちをバイトが逐一取り締まっていたのだ。
しかしながら、前任のGMウエスギの時代には、バイトを雇う金も無く、さらに
ぶっちゃけ、不正ツールを使用するプレイヤーたちを取り締まることに関して、物理的に割ける人員がいない状態になってしまっていたのだ、ノブレスオブリージュ・オンラインの運営陣には。よって、細々ながらも不正ツールを使用している悪徳プレイヤーたちは徐々に勢力を増していき、ついにはノブレスオブリージュ・オンラインのサーバーをダウンさせる原因になるほどまでに成長したのだろうと、
「よおおおし! 大掃除としゃれこみますかっ! 見える、僕にも見えるぞおおお!!」
「はーははっ! 『D.L.P.N』システムは素晴らしいですねえ! こんなに楽々と不正プレイヤーを洗い出せるのならば、このシステムを政府に勧めたいくらいですよっ!!」
「こいつは小悪党ですねぇ! どうやらRMT(リアルマネートレード)の使いっぱしりをしているようですね。しかし、本家本元はどこに潜んでいるのでしょうか? あっ、こいつですかっ!」
「あはーーーん! まるで1週間続いた便秘が解消された気分ですよぉ!」
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