変化(後半)

自転車がパンクしてしまってからというもの、家が近いこともあり四十川とよく登下校していた。


「小鳥遊さん、ワンちゃんですよ!可愛いです!」


四十川は遠目に見える散歩をしていたトイプードルに夢中になっている。四十川はここ数日で見る見るうちに変わった、俺と片岡とも緊張なく普通に会話できるようになっていったし何より性格が明るくなったことが一番大きい、以前より自分から発言することも多くなった。


「小鳥遊さん?」


「お、おぉそうだな」


ぼーっとそんなことを考えていた俺は四十川に話しかけられた。


「いや、四十川なんか明るくなったなって思ってさ」


「そ、そうですかね?」


「あぁ」


ふふふと微笑む四十川はどこか嬉しそうだ、俺と四十川の家は駅から約5分程と近い場所にあるのでそんな会話をしている内に家に着いた。


「じゃあ、また明日」


「はい、おやすみなさい」


こんな日々が続きある日問題は起こった。俺は珍しく寝坊をし、いつもより少し遅めの登校をすると登校すると片岡がニヤニヤしながら近づいてきた。


「なんだよ、気持ち悪い」


「この色男めっ」


「はぁ?」


色男?何言ってんだ?


「まぁ、まぁ、後は東雲裁判長の前で聞くよ」


「いや、マジでなんなんだよ」


その後東雲の席に連れて行かれそこにはなぜか少し不機嫌な東雲がいた。


「やっぱあれか、発育が全てかおい」


「え、」


「いやなんでもない、忘れて」


東雲は頭を抱え大きく深呼吸をしもう一度質問し直す。


「小鳥遊、あんたあやめと付き合ってんの?」


「はぁ?」


俺が四十川と?そんなわけないだろ。


「いやいや、確かに一緒に登下校したりはしているが四十川は友達だ、そういう関係じゃない、そもそもどこ情報だよそれ」


「学校中」


「はぁ?」


俺はその後四十川を教室に呼び二人の誤解を何とかして解くことに成功した、東雲は「やっぱ体か、そうなのか」や「胸がでかいのがそんなにいいのかね」など女子らしからぬ発言を俺の横でボソボソ呟いていたが誤解が解ける頃にはいつもの東雲に戻っていた、良かった。


それに片岡と東雲が聞いた話では俺と四十川が付き合っているという噂は学校中に広まっており、酷い話では俺と四十川がすでに体の関係を持っているとかいう話もあったらしい、そりゃ親友と友達がが自分の知らないところでそんな関係になってたら俺も怒るわ。


「でも僕、安心したよ〜、2人がさ僕としのりんに嘘っていうのはちょっと違うけど隠し事してたのかなって思ったらさ、ちょっと寂しかったんだ〜」


片岡は心底安心したような表情で俺たちのことを見る。


「ね!しのりん!」


「ま、まぁ確かに冷静に考えればそうよね取り乱してたわ、ごめんなさい」


取り乱したら東雲あんなふうになるのか、怖えな。


その後は片岡があの噂はデマだったと学校中に伝わるように計らってくれた、片岡は性格上友達がかなり多い、しかも後輩とも仲がいい、全く違う部活の後輩が挨拶してくるほどだからよっぽどだ。今回の件に関しては片岡にとてもお世話になった、また何かの形でお礼しなきゃな。


こんな騒動もあったが俺たちは無事、全員期末試験を乗り切った。片岡は数学では過去最高点をたたき出し、俺もいつもより高い順位を取る事が出来た。東雲、四十川は試験がかなり近いこともあり面接練習もしながらだったが俺よりも高い点数ばかり取っており正直驚いた。俺も負けてられない。


期末試験が終わるとあっという間に終業式の日になり、俺たちの高校最後の夏休みが始まった。


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