ダンジョン転生
@040413shun
第1話 空間
・・・ここは、何処なんだろう?
眼も、鼻も、耳も、口も
手も、足も
前も、後ろも、右も、左も
何か、全部が曖昧だ。
浮いているのか?
立っているのか?
寝てるのか?
逆さなのか?
これさえもよくわからない。
え?何これ?
えーっとぉ・・・・・・・???
んんん?待ってくれ待ってくれ?
なになに?
これ、マジでどうなってんの???
俺、一体今どういった状態?!?!
え?身体動かん!!
・・・・・てか、あらゆる感覚全部がない!!
おれ、今起きてるはずなのに真っ暗だし!
てか、しゃべってるはずなのに声出てないし?!
はぁ?!
なんだこりゃ?!
一体、俺の身体になにが起こってるんですかねぇーーーーーーーーー?!
・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・ふぅ
よーしよしよしよしぃぃぃぃ
オーケーオーケー、冷静になれよ俺ぇ....
慌てたってなにも始まらないよな?
なら、まずはどうしてこんな状態なのか
思い当たる節はないか
“探ってみる” か “思い出してみる”
ってのがセオリーだよな?
よーし、いいぞぉ?
とりあえず、身近な情報から整理しようか?
まずは、俺が何者か
これは、簡単だよな?
おれの名前は、囲側《かこいがわ》 平田《へいた》
年齢は、17歳
身長・体重は、174・68
出身は、日本
特技は、暗記・分析
よし、ここまではいいだろう
さて、次に俺の行動でも辿ってみるか?
えーっと、確か一番最近の記憶は・・・?
そうだ、夏休みだな
夏休みの祖父母のいる田舎に帰ったのが最後の記憶だ。
確か俺は、弟の頼みで裏山にカブトムシを探しに行ってーーーーーー.......
そこから、記憶が妙に断片的になっていた。
弟と山の中を掛けていたような?
結局カブトムシがいなくて、ションボリした弟を慰めてたような?
たくさん捕まえて、弟がキャイキャイ喜んでいたような?
いずれにしても、あまりに違いすぎる記憶が継ぎ接ぎに繋がっていて、俺は首をかしげた。
・・・・・・・まあ、感覚がないからそういう風に動かしたつもりだ。
・・・・・さーて、いい加減現実を見ようか?
俺、謎の場所にて全ての感覚が失われる
・・・・・よし、全くどうなってるのかわからんな!!!!
いや、だが待てよ?
そもそも、俺は無事なのだろうか?
意識があるってことは、まあ少なくとも死んではいないだろう(というか、そう思いたい)
だが、今俺は全身果ては五感全てが機能をほぼ停止しているような状態だ。
なにも見えないし
なにも聞こえないし
なにも感じない
寒いとか暑いもないし
痛いとか気持ちいいとかもない
埋められているなら、息苦しさや全身に圧迫感を感じるだろうが、微塵もそんなもの感じない
ここで、自分の状態に仮説を立てるならば
1,肉体がなくなり、精神だけの特殊状態
2,お化けになった
3,世界と一体化して、そもそも生物でなくなった
むー、この辺が妥当なような気がするな?
最近では、アニメや小説の中でも、似たような状況になっている登場人物もいるし、いくらフィクションでも、そういったことが絶対に起こらないともかぎらない。
それに、積極的ではないにしろ、俺も多少はそれらの作品に触れてきている。
もし、上記の状態でも俺は辛うじて受け入れることが出きるだろう。
・・・・・・・と、ここまではいい
さて、問題は、本当に仮説が正しかった場合、俺はどうすべきかなんだが.....
まず、何かしらの情報を得なければ何もできない
ここは、曲がりなりにも現実だ。
都合よく神だの悪魔だの召喚者だのがいるはずがない。
まずは、もっと情報がほしいところだが・・・・・・・
そんなことを考えていた矢先、俺は突然感じとることができたのだ。
―――――何かが、体内で動いている感覚を
え、嘘だろ?
なんかいるんだけど?
んー、なんか、こう、腹の虫とかじゃないよなこの感じ・・・・・
さいど、突如顔を覗かせた少し嫌な感覚に集中してみると、徐々にだが移動していることがわかった。
それは、ゆっくりねっとりと移動しており、それが動くたびにくすぐったいような気持ち悪いような感覚に襲われた。
身体の感覚がいままで一切なかったはずが、突然の怒涛の不快感
思わず身震いしてしまいそうになるが、残念ながら震える身体の感覚がない。
くそぉ、どうなっているのだろう俺のからだ!!!
払い落としたいし、体内なら水飲むなりなんなりしたい!!!
というか、そもそも俺はまだ人間なのか?!
正直、さっきから流れてくる感覚から、俺の体内(のような場所)から動いてる気がするし、それが徐々にヤバイ方に近付いている感覚がする!!!
普通ならあり得ないなこれ!!!
体内をうごめくものとか感じたことない感覚だし!!!
・・・・・・・正確な位置とか、わからないかなぁ
もし、もしもだが
俺が、人間じゃなくなっていたとして、さらに、ここが異世界だと仮定しよう。
そしたら、俺っていままで使えなかった特殊な能力とかないのだろうか?
それこそ、自分の身体を確認する術とかーーーーーーーーー
そんなことを考えていた矢先、俺は体内に感じていた不快感が突然ピタリと停止していることに気がついた。
何事かと思えば、不快感が徐々に薄れていき、数秒もしないうちに先程まで感じていた不快感がきれいさっぱり消え去ってしまった。
何事かと思えば突然、頭のなか(なのか?)に当然聞いたこともない声が鳴り響いた。
【経験値を獲得しました】
【各種数値が上昇しました】
【能力が解放されました】
【存在がより鮮明になりました】
な、なんだなんだ?!?!
だ、誰かいるのか?!
謎の声に驚き、辺りを確認してみようとしたが、そもそも動くどころかなにも見えなかったことを思いだし、再び絶望しかけたが、ここで再び奇妙なことが起こった。
なんと、さっきまでなにも見えなかった俺のしかいに、初めて何かが映り込んだのだ
だが、それは初めて見るのだが、見慣れているような感覚もあるものだった。
それは、どこからどう見ても
“メッセージウィンドウ” だったのだ。
ちなみに、浮かんでいる文章なのだが
【ダンジョン内の状況を確認しますか?】
【・はい← ・いいえ】
・・・・・・・・・えーっと
なにこれ?
俺、いつの間にダンジョンの中に入ったの?
・・・・・は、はっはーん、なるほど?
これ、もしかすると新手のVRってやつか?
俺は、嫌な考えを振り払うようにそう思いながら、とりあえず目の前のウィンドウに出ている文字の “はい” を選択してみた。
ちなみに、選択はカーソルに意識を集中してみたら動いたし、決定らしいこともできた。
すると、突然真っ暗だった視界が一瞬で眩いばかりの光に包まれた!!
思わず眼を閉じ・・・・・られないが、感覚的に眼をつぶっていると、不意に光が収まり目の前には信じられないものがみえた。
なんと、目の前には、なんの変哲もない岩壁が映ったのだ。
なんだこれはと駄目元で視界を動かせないか試みると、なんと、景色がまるで写真のギャラリー機能のようにパシャパシャと移り変わったのだ。
俺は、感覚的にはすごく久しぶりな景色に、何度も何度も辺りを見渡してみた。
そして、しばらくしてようやく落ち着き、俺のみえる景色を整理する。
景色は全部で二種類だ。
一つは、ゴツゴツとした岩壁だ
これは、感覚的には右、左、上、下、正面だ。
この方向を意識したときに映るのがこれなのだ。
多少の違いはあるのだが、どれも岩壁以外が映っていることはない。
そしてもう一つが、おそらく外へ続いているであろう穴だ。
ここからみる限りだと、斜め上方向に数メートル離れた位置に、岩壁にまるでくり貫いたように綺麗なアーチ状の穴が空いており、そこから眩しいくらいの光がこちらに差していた。
・・・・・・・まてまて
まだ慌てるような時間じゃない。
再びよぎった嫌な予感を振り払い、俺は試しに穴の方へ近付けないか試してみたが、どうやら移動は不可能なようだ。
少しがっかりしながら、俺は再度ウィンドウを出そうと試みた。
すると、少し出てこいと念じると先程出てきたウィンドウが音もなく俺の視界に浮かび上がってきた。
そこには先程と同じような文面の他にーーーーーーーーー
ダンジョンメニュー
【分析】
【製作】
【吸収】
【コア】
【監視】←実行中
このような表示を見つけることができた。
な、なんだこれは?
本当にゲームみたいじゃないか
も、もしかして、これもか?
俺は、まるでゲームをしているような感覚で、カーソルに意識を集中して、試しに【分析】に集中して先程と同じようにしてみた。
すると、今度はウィンドウが一度消え、すぐにまた現れた。
そして、そこにかかれている文章が変わり、内容を確認して絶望した。
【ダンジョン名→ただの洞穴】
【ダンジョン内→異常なし】
【ダンジョンコア→
【ダンジョンボス→
【ダンジョンモンスター→無し】
【ダンジョンレベル→1】
【ダンジョン脅威度→F-】
・・・・・・・あー、なるほどぉ
ダンジョンコア・・・かぁ
ボスも俺か・・・・・・
どうやら、俺は、もとの世界とは違うところに転生してしまったみたいだ
しかも、ありがちな勇者とか、魔王とか、スライムとかの魔物でも、ましてや剣とかの武器でもない
ーーー“ダンジョンそのもの”に“転生”してしまったみたいだ.........
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