ボクは次の目標とクランスキルを選択する
『
この
そして村人が祭っていたとされる『狗岩』と呼ばれる犬の石像。その岩の肌を持つ犬型ゾンビをボスとして、犬ゾンビ系が徘徊する地域となっているのである。
いや、石像がゾンビ化するとかどうなんだ。だがもうそういうものだと納得した。
「なお推奨ハンターランクは30」
「あの……さすがに厳しいと思います。ヨーコ先輩でもハンターランク16なのに」
推奨ハンターランクは、適当につけられているわけではない。挑んで帰ってこなかったハンター達がいるから、この数字になっているのだ。
なお、島南西部フィールドに行けるようになるのはハンターランク15から。
「難しいデスカ?」
「はい。あそこは動きが早い犬ゾンビがたくさん出てきます。数も多く、ゾンビ同士がチェンソーザメの時のように連携を取ってくるとか」
「うんうん。ついでに言うと『狗岩』は
「ナルホド! 日本のことわざで言う所の、レベルを上げて物理で殴らないといけない相手ですね!」
「違……わないのかな? まあ、正攻法の倒し方はそんな感じ」
この『
では成長はどうするかと言うと、加工品を使って装備品を強化することである。ゾンビ化したくなかったら防御属性を強化したり、攻撃速度を高めたかったら速度系を強化したり。それを積み重ねることでようやく強いゾンビと対抗できるのだ。
要するに、ステータス強化したかったらとにかくゾンビを倒して加工品を集めるしかない。強い銃をひたすら強化することが、一番効率よく強くなれるのだ。
「本当は推奨ランク22の『二ノ山トンネル』がよかったんだけど……」
「? トンネルはアウトな理由があるデスカ?」
「あそこは蜘蛛ゾンビがボスだから」
「ひぃ!?」
蜘蛛、と聞いただけで身もだえする福子ちゃんを見ながら、頬をかく
この手の話題は二度としないようにしよう。怯える福子ちゃんを宥める
「うう、中断させてしまし申し訳ありません……。
でも『狗岩村』はハードルが高すぎるとおもいます。『狗岩』と戦わないのなら何とかなりますけど」
「ソウネ。ボスに挑むのは無謀デス。勝算デモ?」
「うん。実は『狗岩』は毒ガス系に弱い」
そう。物理的に滅茶苦茶堅いんだけど、
「本当ですか? いいえ、ヨーコ先輩を疑うわけではないのですが、そんな話は誰も聞いたことがないと思います」
「そもそも走り回るドッグに毒ガス当てるのがベリーハードヨ?」
そう。それが難関なのだ。
『狗岩』は結構な反応速度で動き回り、毒ガスなどのその場に設置するタイプの罠にはめるのは容易ではない。村全体を移動するように走り回る『狗岩』を誘導することは無理と言ってもいい。チェンソーザメで使ったラジカセも、咆哮でかき消されてしまう。
そういった事情もあり、『狗岩』が毒ガスが弱いと言うのはあまり知られていない。前世でも実装当初は難ボスとして名高い存在だったのだ。
「そこはボクが囮になるよ。ミッチーさんは隙を見て、殴っているボクの横から横からガスを直接当ててくれればいい」
「ワオ!? まさかのダイレクトアタックネ! <ドクフセーグ>、物理防御ほとんどないから掠っただけでも死ねるネ!」
「なんでうれしそうなんですか……?」
ミッチーさんの心底嬉しそうな表情に呆れる福子ちゃん。うん、僕も同じ想いだ。
「あー……ミッチーさんて<おおらか>な人なんだね」
<おおらか>……キャラクター性格の一つで、精神的動揺をほぼ受けない代わりに、攻撃ファンブル率が高まる性格だ。テンションが高ければ高いほど精神防御と攻撃ファンブル率が高くなるのだ。
「イエース、それ良く言われマース! 毒ガス出してもただのガスだったり。マー、そう言う事もあるヨネ」
攻撃ファンブルは、ゲーム的には攻撃エフェクトは出るけどダメージなし、という扱いだ。ミッチーさんの毒ガスの場合は、たまたま毒が作用しないような感じになるのかな?
言うまでもなく、そのランダム性の高さもあってあまり使われない性格の一つだ。盾の防御も『攻撃』判定になるため、防御タンクにも敬遠される性格である。
「まー、作戦の概要はそんな感じで! 詳細は後で詰めるとして――」
「あの……私はどうすればいいでしょうか?」
おずおずと挙手する福子ちゃん。
「えーと……。今回は普通に攻撃してくれればいいよ。『待機』攻撃を無理に当てなくてもいいし」
「そう、ですね。はい、申し訳ありません」
「?」
そして納得したようにゆっくりと手を引っ込める福子ちゃん。
あれ? なんかマズいこと言ったかな?
「後はもっていくクランスキルかな。
クラン
クランスキル……クランに属するもの全員が効果を得られるスキルだ。これがあるとないとではかなり攻略難易度が変わってくる。まあ、僕はなくてもどうにかなるけどね!
<
<
<
「安全確保で<
「『狗岩』が使ってくる『呪い』は攻撃を受けた時に追加ダメージが来るぐらいなんで、無視してもいいんだよね。あとボクはダメージ受けるつもりはないから<
「オウ、ダメージ喰らうつもりがないとかどんな自信デスカ」
全部避ければいいのさ。『狗岩』の攻撃もほぼほぼ覚えてるからね。
「ただ福子ちゃんたちの安全確保、っていう意味では<
「無難な選択ネー」
「……ちなみにヨーコ先輩
「? まー、その方がドロップ品多く持って帰れるからね。でも今回はクラン全員の安全を考えれば――」
「わかりました」
「<
へ? あの、福子ちゃんいきなりどうしたの?
「冷静に考えれば、私の『従魔の餌』やロートン様の『ガスタンク』など狩りで使う消耗品は多いです。継戦能力を高める為にも、悪くない選択です」
とても冷静になっている、とは思えない態度で呟いた。ええ、ちょっと待って!?
「いいですね、クランマスター。
というか、クランメンバーの意見を採用するんですよね?」
有無を言わさない、と言う圧力を込めて福子ちゃんは
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