(2)
そして、あたしは、その「
住宅街
いや、さっき、ここを通り過ぎた、東南アジア系とインド系とヒスパニック系の観光客の一行
ちくしょう、slumぐらい判るわい、馬鹿野郎。いくら、あたしらの生活費の一部の出所でも、言って良い事と悪い事が有るぞ、馬鹿野郎。
あたしが生まれた頃、この「観光客」達の国には、ヨーロッパの金持ちなんかが「スラム見物」に来ていたみたいだ。そして、今は、そんな国の人達が「東京」に「スラム見物」に来るようになった。どうやら、5〜6年前に、海外で「『秋葉原』のスラム」を舞台にした映画が大ヒットしたらしい。
そして、大人達は「スラム見物」の「観光客」が来る時間帯には、その「スラム」には居ない。仕事が無くても、どっかに行ってる。
大人や「本土」の人達は、また違うのかも知れないが、あたしぐらいの
だけど、日本が豊かだった時代を覚えている大人達は、かつて「競争相手」とさえ思っていなかった相手に追い抜かれ、そして、見下し半分の同情の目で見られるのは、精神的に、かなりキツい……みたいだ。
「お〜い、勇気、居る〜?」
荒木田さんとか云う女の人の
「バイト」
勇気の妹の
「じゃあ、聞くけど、ここに一二歳ぐらいの香港の金持ちの糞ガキが来てるか?」
「それっぽいのが遊びに来てたけど、あの子、金持ちだったの? つか、誰?」
「そのガキの知り合いだ。昨日、ここに居る友達のとこに行くと言い残して消えたんで、大騒ぎが起きてる」
「友達って、何の友達?」
中から仁愛ちゃんが出て来た。
「オンラインRPG」
「じゃあ、学校の電算機室じゃないかな? あそこなら夏休み中でもPCが使えるし」
「なら、すまない、場所だけ教えて……いや、待て、まさか……」
「うん、部外者は入れない。まぁ、生徒か先生と一緒なら入れるから、実質、ザルなんだけどね」
「それなら、ここで、待たせてもらって良いかな?」
「連絡とかは出来ないの?」
「GPSで、場所を知られるのを避ける為に……
「ところで、最大の問題。レナ姉、この人、信用していいの?」
「……う……うん、大丈夫だと思う」
多分、仁愛ちゃんが考えているより大きい問題が有る。荒木田さんが、信用出来ない人でも、何とかする方法は……多分、無い。
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