死す者

月川原虎雅

第1話 見える

俺は死神の子。

そのためか、人に憑いた死神が見え、死期が分かる。

ほら…そこの人だって…


朝7時前。強烈な目覚まし時計の音に叩き起こされる。制服に着替え一階に降りる。

朝食の準備を済まし俺を待つ母親、奥の仏壇の中で笑う父親。

何も変わらない朝だ。


朝8時、家を出る。

「おはよう。守くん。」

隣に住む隅田さんは今日もにこやかに挨拶をしてくれる。奥さんが亡くなってからずっと一人で住んでいるが、歳が八十を超えている割には元気だ。


そんな時ふと思い出した。

隅田さんの奥さんが亡くなる少し前のことを。


隅田さんの奥さんの後ろに憑く黒い影。

そして「あと一週間。」と無意識に感じていたこと。


この時しっかりと自分で認識した。

死神が見えることを。人の死期が分かることを。

この記憶のせいで今日の朝はいつもと違う朝になりそうだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る